ちょっと前のローソンの弁当のタイトル風にいってみましたけど……
2023年もっともインパクトのあった本の一つ。
ちょっと前に「ウンコ漢字ドリル」が流行ったけど、男の子はウンコが大好き。現実の物体としての「ウンコ」はともかく*1。
元男の子、今おじさんになっても「ウンコ」と聞くと、犬のしっぽがぴょこんと上がるように反応してしまう。
「ウンコロジー入門」は伊沢さんというもとはキノコ研究者・写真家だった方なんだけど、糞土師として「啓蒙活動」をするようになった、という異才なおかつ異彩を放っている方。ひょっとしたら異臭も放っているかもしれない。
そんな伊沢さんの二冊。
「ウンコロジー入門」は伊沢氏の活動内容や主張を概括したもの。
「くう・ねる・ノグソ」は『余はいかに糞土師となりしか』という回顧録である。
結論からいうと、どっちもめちゃくちゃ面白い。
ウンコロジー入門は、森の生態系(コスモロジー)を独特の視点で語る本。
森の食物連鎖のヒエラルキーの上の方(リスさん、シカさん、クマさん、そして松や杉の木)ではなくて、下部組織である菌・キノコ・カビ、そしてウンコ。つまり生態循環の静脈側といいますか、そういう生態系は、われわれは普段あまり意識しない。
でもバイオマスとしてはむしろ大半。
でもそこに視線を向けると、森はまた別の色彩を放ってくる。
そういったコペルニクス転回を、あくまでも学者的な視点ではなくフィールドワーカーとしての面白さとして紹介した本である。分量もほどよく紹介本としては格好のものである*2。
「くうねるのぐそ」は自伝のようなもの。
普通のぐうたら学生が、キノコ写真家としてフィールドワークをしてゆくうちに、ノグソに魅せられ、
野糞を生活の中心にしてゆく、つまり普通の人間がノグソ100%行う風にかわってゆく記録になる。
これがすごい。
さりげなく、その年に排便したうちの何回が野糞だったかを振り返っているわけだが、
それにしてもすごいぞ。排便をメモにつけるだけでも異能だと思う。
ちなみにこの方があることをきっかけに怒りの気分で野糞を始めたのは1974年1月。
僕の生まれた年だ。
それからの筆者の人生の展開とともに、年間野糞率は30%程度から、80-90%に徐々に上がり、1986年には周囲にもノグソを公言するようになり、1999年には野糞率100%を達成に至るわけだる。
……というか、排便全部記録しているの?
100%ノグソを貫徹するために、東京の出版社で原稿の最終詰めをやっている時に、日比谷公園や東京の街の植え込みですばやくウンコする話とか、まじかよ…と思う。
多くは語らないが、こういうノグソ生活のなか、離婚して、再婚しているんだよね。
うーん。規格外!!
まあ、これだけのノグソ経験なので、野糞の時の作法や注意点、適した葉っぱは場所など、
実際に山行でノグソをするときに、大変役にたった(したんかい)。
まあとにかく、できれば二冊セットで読んでいただきたいと思いますが、
片方だけでも面白いのです。
多分うんこするときにしっこも出ちゃうように、もう片方の一冊も読んじゃうと思う。