半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『BLANK PAGE』内田也哉子

樹木希林の娘さん、内田也哉子さん。モッくんこと本木雅弘さんと結婚した人ですね。

お母様の樹木希林さんが亡くなられて、ぽっかりとした気持ちを埋めるために、
樹木希林さんと関係のあった人に会って対談する。そういう記録。

いってみれば、一つのグリーフ・ケアの記録ということかもしれない。
しかしそれが作品として成立するのは、当人樹木希林さんも著者の内田さんも有名人であり、ファミリーヒストリーとしての内田裕也樹木希林本木雅弘一家そのものの知名度が高く、興味を持たれているからだとは思う。思うが、それはそれとして、樹木希林さんは語られて面白い、かなり特異な存在であるなあと思った。

行動原理が人とは違っていたり、ミステリアスな存在ではあって、
そういう人の公私の姿を垣間見るという点でも興味深いし、また、そういった方の逝去にいたるまでのエピソードという点でも興味深い。

ちなみに故人のマイレージを引き継ぐことができるのは知らなかった。

樹木希林という人物を軸として集められた対談した方々のラインナップが素晴らしいと思った。
石内都さん、窪島誠一郎さん、伊藤比呂美さんは詳しく存じ上げなかったので、この本をきっかけに手を出してみようかと思った。

以下、おぼえがき
・(相模原の障害者施設の大量殺人)すべての言動の裏には、すべてのものには意味がなければならないという暗黙の了解をもつ社会がある
占星術とは5000年の歴史をもつ心理学である(ユング博士)
・心がふるえるものと出会うためには、もしかすると、それ以上の闇と向き合わなければいけないのかもしれない
・この世に頼れる人間は私しかいない
・画家には二つの命がある、一つはナマ身の命、もう一つは作品に込められた命
・寂しさは宝だと思います。寂しくなければ仕事なんてしないんじゃないですか
・創造の縦糸と礼儀礼節の横糸から交わる点から生まれる作品は霊性が高い
・がんばって自分の生き様を貫いたランキングでいったら相当上位。それはもう、腹立たしいくらい見事だった