半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『韓国 行き過ぎた資本主義「無限競争社会」の苦悩』

オススメ度 70点

どうも東アジア系の情報を収集しようとすると、それが嫌韓・嫌中・ネトウヨ視点で発せられたものなのか、それとも事実なのかが判断しにくい。
つまりバイアスがどれくらい混じっているのかがわかりづらい。

報道の中立性なんて昔からないけど、最近は特にひどい。
例えばこの前の菅総理とバイデン大統領の会談なんて、「この上ない成功をおさめた」という記事と、「外交儀礼上のプロトコルでいえばけんもほろろの対応だった」という記事の両方があるわけで、もはや、どちらが正しいか、鵜呑みにはできない状態ではある。

韓国は苛烈な競争社会で、そのために社会は歪んでいますよーというのが一言でいうと本書の内容。
ただ、感情的なバイアスというよりは事実ベースのようにも見えるが、その辺もなんともいいがたいよね。

ただ、OECDベースでみても日本よりも韓国のほうがグローバル人材の育成には成功している。
しかし国内資本蓄積が低く、内需に頼れない現状で、海外マーケットに依存しているのは現実だ。

その中で韓国は経済成長という点では健闘している。
それを達成するためには日本よりは無理をしなきゃやれんだろうな、とは思う。

日本はこの韓国よりは「ヌルい」日常を選び(選ぶ余裕=資本蓄積があったのも事実だ)今にいたる。
長い目でみると、韓国の後塵を拝するよな…こんな体たらくじゃあ……と昔は思っていたけれど、最近はそうでもないのかもなと思ったりもする。

国というものを人間の体に例えると、頭の部分は日本は韓国にだいぶ負けていると思う。
ただ、それは置かれている状況が韓国の方がだいぶ苛烈であるからだと思う。

似たような民族特性で、別の世界線を走っている韓国。
非常に興味深いとは思うけれど、なかなかデリケートな問題が多くコメントはむずかしいやね。