半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『女と男 なぜわかりあえないのか』

オススメ度 80点
リテラシーは十分に働かせて度 100点

いつのころからか橘玲に関しては出る著作は買うようにしているが、そうなると、同じ主張の繰り返しはあることに気づく。

これも、「言ってはいけない」「もっと言ってはいけない」の中で主張されていた中で、男女関係・性愛関係に関する部分だけを、よりわかりやすくまとめなおしたもの、ということができるだろう。

男と女、ではなく女と男、というところが、ミソなのだろうか。

主張のほとんどはまずまずのエビデンスのついた論文をもとに(きちんと出典も示している)しているのだが、だがこれが、では厳密な真実を告げているのか、というと、100%正しいわけではないだろう。「合成の誤謬」という言葉がある。論理展開の一つ一つに強固なエビデンスがあったとしても、それによって導かれた結論は必ずしも絶対的な事実ではない。(それぞれ母集団や前提条件が異なる実験系での結果であり、リアルワールドでの挙動がそうであるとは保証できないのだから)
もっとも、著者はおそらくそういうことも百も承知で書いているように思われる。
リテラシーを十分に働かせて読んだ方がいいと思う。

以下、備忘録。(この本のいいところは結論だけを書いてあるのではなく、きちんと出典を明示していることだ。
なので、本を読むことを勧める。難しい書き方はしていないが、リテラシーには注意)
・男はとにかく若い女に群がる
・「若い女と金のある男はモテる」
・女性は身体的な興奮と主観的な興奮が一致していないという事実(精神的に興奮してなくても濡れるようにできている)
・男女の友情は成立しない。成立する場合があるとすれば、その男がもっと魅力的な女と性愛関係にあること。
・性欲がないことが悩みになっている女性の比率はものすごく多い。
・典型的なロマンス小説ではヒロインが、アルファとベータの男の間で揺れ動く。
・父親が血が繋がっていない子供の比率は、巷間考えられているよりもずっと多い。(多すぎて社会的にも焦点をあてることもできない)
・男の「浮気」に対して、女は「托卵」で、進化上対抗した。
・男は女の「性的な浮気」に不寛容で、女は男の「感情的な浮気」に不寛容。(女の嫉妬は「夫の資源をいかに確保するか」という経済合理性がある)
・「美人はいじわるだ」=美人にとって悪口の利益はしばしばリスクを上回るから
・女性は競争を好まない(というデータ)→競争を好まないのではなく、過度のプレッシャーに対して積極的にリスクをとりにいく、という競争は男の方が得意。
・女性は、競争に消極的なのではなく、勝率を冷静に計算し、合理的な勝負を好む傾向がある。
・チームプレイは、女性よりも男性の方が得意