半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』今井むつみ

最近 ゆる学徒シリーズのPodcastをよく聴いている。ある人に勧められて、まず「ゆる言語学ラジオ」が面白く、同じコンセプトで水平展開している「ゆる学徒シリーズ」にも二、三個手を出している。

そんな中で、今井むつみ先生がゲストに登場することがあったので、そこからこの本に辿り着いた。
今井先生の慶應SFCでの最終講義を文字起こしした本である。

認知心理学という限定された学問の知見だけではなく、知的行為を行うためきっかけになるための講義。

ただ、実際に講義を行い、学生たちと接する中ですぐ、自分と学生たちとのモチベーションの違いに気づかされることとなりました。
そうして、最先端の限られた分野の知見ではなく、より広い「人はどのように思考するのか」の学びを得られる講義にしたい。そして将来、研究者になる人のためではなく、広く社会で活躍していく人たちのためになるように、
・人間はどのように考えるのか
・人間はどのように学ぶのか
・人間はどのように成長していくのか
 を扱う、言い換えれば「人間を知る」ための講義を目指して、28年間、少しずつではありますが、毎年改良を重ねてきたのです。

人間の思考の癖(確率思考は苦手、自分の労力の過大評価と他者の労力の過小評価、流暢性バイアス、アブダクション推論
実用スキーマ、システム1とシステム2(カーネマン)、記号接地)についてわかりやすく説明されていて、非常に興味深かった。特に、AIというアウトカムだけだったら人間に迫る(分野によっては人間を凌駕する)存在がでてきた現状では、我々の強みと弱みというものをより深く知る必要があるようには思われる。

 難しいな。
 私が子供の頃には、まだ実用的なAIというのは夢物語であったわけで、知性というものを考える時には、人間のことだけを考えれば良かったわけだし、比較対象がない分、人間の思考様式について、深く思惟されうるべき外的条件はそろっていなかった。
 それが今では、AIのできることはAIが我々から仕事を奪うことが今後数年で予想されちゃうわけで、AIが不得意であることを探さなきゃいけない時代が来ようとは……

 最終講義であるので、わかりにくい話ではなく、むしろコンパクトにまとまっているので、それぞれの項についてじっくり他の著作を読んでみないとなーと思った。2010年以降、僕自身、(自分にとって)新しい分野を開拓していないことを痛感。