半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

ここで唐揚げ弁当を食べないでください

小原晩さんという方の生活エッセイ。
いや、エッセイというか、ビルドゥングス・ロマンなのか。

学生の頃の居場所のないさまやバイトで先の見えない時代の不安やもやもやの描写が、めっちゃ真に迫っており、若い頃の「うわー!」がすごい精度で追体験できる。
うわー!
つらいー!

もはや気がつくと自分も初老。「若い頃の気分は遠くなりにけり」なのだが、当時の「自分が何者でもなくこの先どうなるのかどう転ぶのかわからない」感覚は、いまでも当時の微かな焦燥感と共に夢にみることもある。

私などは、親が医者で、なおかつ医学部に入った、「将来が決まったタイプの若者」だったから、道を外れない限りは職業選択に悩むことすらない、甘ったれた境遇なのだ。
(もちろんそういう生き方の苦悩や、達成する目標のしんどさ、みたいな苦労はあるけどね、でも甘ったれてますよ)
そう自分には大した選択肢もなかったけど、それでも、未来の不確定性やそれに基づく不安はあった。

年をとることは、その不確実性を、大したことない確実なリアルに変換(利確)してゆく作業だよなーと、
このみずみずしいエッセイを読んで感じたことだ。

最近老人が若さの文学を読み、懐かしむ気分がなんとなくわかってきたわ。
もう今では耐えられない熱量。サウナみたいなもんですなあ。