『カレチ』で名を馳せた池田邦彦氏。
ホリエモンも推薦されていたが、いわゆる人情物鉄道漫画というジャンルとしては随一の作風である。
その他、『エンジニール』『でんしゃ通り一丁目』『グランドステーション』など鉄道関係の漫画が多いので、鉄専門だと勝手に思っていた。
*1
そんな池田邦彦氏であるが、案外守備範囲が広いんだなということを再認識させられた『国境のエミーリャ』
舞台は、太平洋戦争で、1945年8月に無条件降伏をせず、本土決戦後ドイツのように東西分割させられた架空の日本が舞台。
共産主義政権下の東日本(ソ連の支配下)で、東京駅の食堂のウェイトレス、しかして裏の顔は東から西側への亡命請負人。
という、いわゆる冷戦下のスパイ小説的な活劇を、架空戦記日本でやっているという、レトロSF+スパイ小説的な作品。
多分池田邦彦氏は、この手の冷戦下の往年のスパイ小説とかが大好きなんでしょうかね。
でも架空戦記でやるにしても、あくまでフィールドを戦後の昭和日本にもってくるところが、氏らしいと言える。
ストーリーテリングは上手い。虚構であることを忘れるような迫力がある。
絵そのものはいつもの池田節ではある。
19-20世紀の航空機を一枚絵で取り上げている作品。
漫画家というよりはイラストレーター時代の作品といってもいいだろうが、それこそ『宮崎駿の雑想ノート』のような奇妙奇天烈な航空機(ユンカースG38とか、カプロニ Ca60とか)が出てきて、非常に面白かった。鉄道も好きなんでしょうけど、飛行機とか、メカには相当造詣が深いのだろう。
氏のルーツをうかがうことができる作品。
Kindle Unlimitedで読めるので、興味があれば。