以前にも長倉顕太氏の本は読んだことがある。
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ホリエモンにも近いところがあるけど「ニューノマド系」とでもいいたくなる仕事のあり方を謳っている本。
- 「安定」ってそんなにいいか?
- 年金とか日本の制度なんて将来絶対破綻する
- 若いうちフルタイムで働いて、歳を取ると年金だけで優雅に暮らす、という考えが不健全。
- デフレっていうのは、何もしないことが得策になるわけで、消極的なやつが多いよな
予測不可能な時代、安定を捨て、飛び出そう。
資本家でも労働者でもない「ギグ・ワーカー」になってほしい。
というのがこの本の趣旨。
- リモートワークが増えてゆく現状は、どこでも働けるようになっている。
- 下請けになるということは生殺与奪権を他人に握られることを意味する。
- 現代は製品化するビジネスよりコンテンツ化するビジネス。
- コンテンツビジネスは、限界費用が限りなくゼロに近いので、売れれば売れるほど利益が大きくなってゆく。
- しかし多くの人がコンテンツに価値を感じているわけではなく、そのストーリーの一員になっている自分に価値を感じたいのではないか。コンテンツのベースになるのがコンテクスト。
- 人は明確な役割を与えられた時に力を発揮する
- 今の時代に必要な「アティチュード(態度)」は「自分を還元する」ということ
全部書いちゃうと、著作権侵害になって。
キモの部分は書かないので、ぜひ読んでみてほしい。
どうしても時間がなく、プラクティカルな結論だけ欲しい場合は第7章だけパラパラと読んでもいい。
そういうギグ・ワーカーへのアドバイスが書かれてある。
概念的には新しいけど、別に突飛な話じゃない。
集約すると、ビジネス本の類型的なTipsは、そう大きくはかわらない。
ただ、Gig-Workという言い方は、まずまず新しいと思う。
オーケストラ、ビッグバンドのように高度に組織化(オーガナイズ)された組織にて何年も通用する堅牢なルーチンを作り上げるのが前時代のビジネスのありかただとすると、コンテンツの賞味期限が短くなった現在、まるでジャズのセッション=ギグのように少人数が集まって迅速に意思決定を行い、ビジネスを展開する。
これが現代のビジネスのありよう、ということですね。
そういう時代には、ピンで動く人材が活きる。
コンテンツを作れる人が、巨大会社組織ではなく個人(もちろん税法上の利得があるので、起業し会社化はあるが、昔のような組織化をあんまり考えなくていいということだ)として動けるおもしろい時代だ。
私はサンデージャズマンでもあるので、こうした概念についてはすんなりと理解はできる。
ただ、補足しておくと、セッションで自由に振る舞えるミュージシャンは、ビッグバンドの平均的なミュージシャンよりも随分と音楽力が必要とされる。それと一緒で、ギグ・ワーカーのビジネススキルの要求水準は結構高いんじゃないかと思う。
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本書の裏付け的な内容として、この本もあげておこうか。
大きなトレンドとして、かつての垂直統合モデルに優位性がなくなったため、大企業のメリットがなくなりつつある。
21世紀は産業革命以前の「工房」のような開発企業がICT、ネットワークを駆使して世界に発信できる時代になるのではないか、という話。