半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『本物の実力のつけ方』

オススメ度 80点

本物の実力のつけ方

本物の実力のつけ方

榊原英人(経済のスペシャリスト)と和田秀樹(教育のスペシャリスト。医学じゃないんかい)の対談とか持論を交互にものしている本。
どちらも一家言ある人(いっかげん)で、別の分野をかけ合わせるとどうなるか、みたいな本。

変化が多く先行きの見えない時代(VUCA)に、どう考えて身を処していけばいいのか、みたいな話。
脱産業資本主義、という時代の変化。

以下、備忘録。

・社長がカルロス・ゴーンになって日産が一番かわったのは、CMからタレントの姿が消えたこと。
アメリカでは20年前70パーセントが設備や工場などの有形資産だったのが、今は逆に70%が無形資産になっている。
・優れた知識・技術があれば資金調達も比較的容易で、技術に対する資金の相対的な力は弱まっている。
・大資本主義、大きな組織はこれから不要になってくる。大きな組織の中で歯車になる人は不要。
・ホワイトカラーの必要性の低下。バックオフィスは外部委託できる時代になった。
・勉強しない人に成功はない。(変化が激しく知識のライフサイクルが短くなったから)
・自分の体を使って単純作業をすれば生活はできるという常識は通用しなくなりつつある。
・その反面、努力をして結果を残した人はこれまで以上に収入が増える可能性がある。
・「ケルン憲章ー生涯学習の目的と希望」という宣言(1999)。
・先進諸国では、どこもいわゆる差別を禁止している。人種や性別によって差がつけられることはないが、ひとつだけ公然と許されている差別があることを忘れてはならない。それは能力による差別である。
バイリンガル・バイカルチャーのすすめ(海外留学というと敷居が高いが、都会の人が田舎で生活する、田舎の人が都会で生活するとか、そういうレベルでもいい。
・強い企業にはそういうコアコンピタンスが必ずある。
福沢諭吉は「侍というのは三百年間無駄飯を食わせて作った宝物だ」という旨の言葉を残した。
・君子豹変というけど、やはり環境が変わったら人は変わらなければいけない。私は仕事で為替の世界をみてきたけど、そこで学んだのは「失敗する人は自説に固執する」ということです。逆に成功する人は概して退却戦がうまい(榊原)。
・子供のころはできるだけ多くのものを読んで多くの知識に触れた方がいい。


対談が主であって、強い主張を読者に届ける、というものではないが、現在の世界の最先端にいる人たちの問題意識はだいたい共通であるなあと思う。逆にいうと、個人レベルでは解決策は明快だ。

主張としては、
halfboileddoc.hatenablog.com
halfboileddoc.hatenablog.com
このあたりも参考になる。だいたい同じこと書いてある。

和田秀樹の腕の組み方が、ちょっとフェミニンな印象がある。多分写真撮られ慣れてないんだろうか。