臨場感度 100点
2020年に読んだマンガで『A子さんの恋人』がベストだった。
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作者の近藤聡乃さんは、もともとは漫画家ではなく『A子さん』のようなストーリーマンガは初めてだったそうだ。
とてもそうは思えないのだが、割とアート寄りのアニメーション製作者で、絵は描き慣れている人ではある。
だからこそ、動きを感じさせる描線がうまいのだと思った。
『ニューヨークで考え中』はニューヨークに滞在している著者の生活雑記、とでもいうもの。
テイストは『A子さん』とよく似ていて、作品と地続きの世界に来た、という印象。
なおかつ、生活のリアリティ、俯瞰した視線とか、作者の人となりが伝わる、いいエッセイマンガだった。
近藤聡乃さんの境遇はA子さんにかなり似ているのだけれど、性格は当然ながら全然違う。
もう少しクールでA子さんの「悪気ない悪女」ぶりを無くした感じの印象。
『A子さんの恋人』の最終巻はコロナのロックダウンの中描かれたそうで、しかもロックダウンの中、アパルトメントの上階の火事によるスプリンクラー作動で住居が水浸しに遭う。
原稿や家族の蔵書もダメになるという大変な状況のなかロックダウンでリフォームもなかなか進まない…という状況だったそうだ。
外国でトラブルにあう大変さ・心細さ……大変だよね。
こういうのを見ていると、もうちょっと自分も地元で安閑と暮らしていてはいかんのじゃないかと思ったり、逆に日本に来ている外国の人にもっと親切にしなきゃいかんよな、と思う。
旅行以外では、私は外国で暮らしたことがない。
このまま今いる所から離れずに一生を終えるんだろうなー。
今更グローバル人材にはなれそうにないけれど、全く違う国で、全く違う役割で人生をやり直せたら……
いや、そんなんめんどくさいわ(笑)。
他人の人生をやり直すには、いささか歳を取りすぎたなあと、最近の僕はやや元気がない。