- 作者: 松田青子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/01/18
- メディア: 単行本
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http://d.hatena.ne.jp/hibigen/20130514
お会いしたことはないんですけれども、この方の読む本は、時々ひどく僕の琴線をゆさぶるんです。僕は小説に関しては現在全くアンテナを張っていないので、時々この方がとりあげている本で面白そうなものをこっそり真似して読んでます。
あれですよ、レストランで隣のテーブルの料理があまりにうまそうなので「あれと同じのください」って注文するようなものです。Hibigenさんいっつもうまそうなもん食べてんだよなあ。勝ち負けでいうと若干負けているのですが、もはやそんなことはどうでもいいのです。
うーん。なるほどなあ。
Webよくみかけるオモシロ文体で書かれてはいるものの、都市生活の寂寞が透けてみえる。読んでなんとも言えない読後感。確かにこれは文学だ。
複雑に入り組んだ現代社会と取替え可能な我々の仕事とアイデンティティ。
結論として、わかっていたことだが、もうこの同期の男と二人きりで会うのは嫌だなと思った。好きがあからさますぎてだるかった。たいした好きでもないくせに。手近な好きで済まそうとするのはこいつの勝手だが、私を巻き込まないで欲しいとC田は思った。
(中略)
その日、B山は面倒くさくなり少年誌の巻頭にあるグラビアページで笑っている五、六人の女の子の中から一人を指差した。あの時の彼らの嬉しげな様子は特筆に値する。なんだ、おまえもこっち側だったのか。そういう全身分の安堵がB山に押し寄せてきた。(中略)
これでいいの?
B山はいつも拍子抜けしてしまう。こんな簡単でいいのか?こんなに適当に心なく合わせているだけなのに彼らは馬鹿みたいに安心するのだ。
「やっぱ、そうか、やっぱりな、さすがおまえはわかってんなー」
やっぱり、ってなんだよ。B山は心の中で苦笑した。あの頃と変わらない。これじゃ中学時代の、高校時代の、学生時代の、休憩時間と全然変わらない。
こんなにみんな同じだと思わなかった。
(スタッキング可能)
スタッキング可能は、軽音の同期で、東京で今サラリーマンをやっているクールでクレバーな親友タカハシくんを思い出させてくれました。なんとなく君の生活にまつわるいろいろな事に、すこし近づけたような気がします。とかフィクション読んだだけで何言ってんだ。ただ、この小説に書かれている視点で補助線を引くと腑に落ちる人いますよね。
わが人生で消費したマスカラの本数は、ある時点でわが人生で消費した鉛筆の本数を上回ったのではないかと思います。そしてまさにこの時こそが、私が大人の階段を上った時ではないかと思います。
(ウォータープルーフ嘘ばっかりじゃない!)