半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

立花隆『僕の血となり肉となった五〇〇冊そして血にも肉にもならなかった一〇〇冊』

知の巨人立花隆さん。昨年亡くなられた。

2000年代前期に書かれた著作。まあ、読んだ本についてコメントしつつ紹介しているような本。
まだ、ブログ、という形式が始まっていない時代。
現在ならSNSで猫も杓子も書いている書評ブログの形式そのものだが、商業ベースでそれが許されるのは、昔も今も立花隆クラスでだけだろう。

立花隆はこの形式の本を1992年から書いていて、この本は3冊目になる。

20年前くらいに取り上げられている本なので、さすがに時事ネタなどは古い。
少し懐かしく思いながら、取り上げられたインデックスを眺めた。

基本的に、本をある程度の資料として数を読み込んでいくスタイルの場合、あるトピックに対して数冊読んだ上で自分の価値判断を立てるわけで、この本でも、一つの本をピックアップするとそれに付随して別の本を2−3冊紹介するスタイルをとっている。
本は単体ではなく、そうしたいくつかの本の集合体(コンフォーメーションという理系用語が、個人的にはしっくりくる)で理解しておくことが重要だと思っているのだが、この本では立花隆なりのコンフォーメーションを紹介しているので、興味深くよめた。

もちろん、20年前のことなので、今では陳腐化しているものもあるし、むしろ当たり前になったようなものもある。
そういう時代変化も含めて、いろいろ趣深かった。

立花隆自身が、これは100年先にも通用する、と思って書いていない当世風の書評を、20年後に読むことをどう意味づけするかは難しい問題だ。
ナンシー関の本を今読むことに似ているかもしれない。

時間は距離だ。
20年分の距離の分、この本と今の僕は隔たっている。
のび太の宇宙開拓史、コーヤコーヤ星とのワープホールはだんだん距離が遠ざかってしまう。
あんな風に、20年前の本と今の僕の間には距離ができてしまっている。

ただ、20年前の僕はきっとこの本を楽しんで読んだ筈だ。20年前の自分を懐かしむかのように、僕はこの本を読んだ。