
- 作者: 宇野常寛
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/09/09
- メディア: 文庫
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本屋で存在感を放っていたので、何の気なしに買ったのだが、読む進めていくうちに頷けることしきりであった。
自分が考えてはいたけれども整理しきれずにもやもやしたことが、補助線一本引くことによって、明快な理解が得られることがある。この本はそういう九〇年代からゼロ年代までのいろいろなメディア・コンテンツについて、ざっくりと時代性を概括してくれた本。 社会人になってから、いわゆるサブカル的なコンテンツを散発的に消費していた自分は、時代を俯瞰するほどの掘り下げもできず、しかし明らかな時代の変化も伺えてモヤモヤしていたのであるが、なるほどそういうことだったのね、と得心のいく説明をもらった気がした。
今「あまちゃん」で全国的に再ブレイクしている宮藤官九郎ドラマ。木更津キャッツアイには新しいものを感じたが、ドラマの構築方法などの細部にのみ注意がいっていたが(宮藤官九郎のプロッティングはBe-Bopだと思う)、地方都市の日常性という視点でこのドラマの新しさを評価することもできる。なるほど。
この本で宇野氏が語っていることが本当に正しいのかどうかは僕にとってはどうでもいいことで、彼の見方は、今までなんとなく感じていたことを裏付けているし、納得がゆく。今後コンテンツを消費する際のメルクマールになるだろうと思う。
この本は単行本が二〇〇八年くらいで、それ以降の最近の傾向はまだ書かれていないので、今、どうなのか、というのをこの方の他の本を読みたくなった。