半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『魔法少女特殊戦あすか』


いわゆる『セーラームーン』や『プリキュア』など世界の脅威を救うために立ち上がった魔法少女たち、が、最後の対決(ディストニア戦争)で世界を救った。
そのあと、という設定で物語が始める。

僕は『魔法少女もの』はそんなに詳しくないので、そういう前作があるのだと思ったけど、ないらしい。
後日譚から物語が始まる。

確かに「ヒーローもの」って、日常から非日常に移行し、最後はラスボス倒して日常に戻る。
わけだけれども、その後めでたしめでたし、と保証されるわけでもない。

ちょっと考えたら、世界はズタズタ。
被害者は多数、そして通常兵器で立ち向かい、損耗した各国通常兵器。
このままでは国家の安全保障上大きな欠陥があることを、当然国家は問題とせざるをえない。

世界に何人か生き残っている「魔法少女」が、超大国間のパワーバランスに利用されないわけもなく……
ということで各国の特務機関と水面下で魔法少女に関わる強大な軍事技術開発とか、次世代魔法少女の量産だとか、そういう試みが行われる。
当然ながら自国の軍事力になるのであれば、敵であった魔族のテクノロジーを使うことも、厭うはずもない。
そういうキナ臭い話に、元「魔法少女」が巻き込まれる…みたいな話。

そういうやや価値が相対化した世界の中で、不相応にパワーバランスを乱す「魔法少女」という存在はどう扱われるのか……。
ま、当然暗殺やテロの対象になったり、捕まって拷問を受けたり、とか、そういう感じになります。

魔法少女まどか☆マギカが切り開いた系譜で『魔法少女モノのダーク・ファンタジー』ということになるだろうか。

* * *

少女たちが酷薄な目に遭うという意味では、Gunslinger Girlにも似ているのかもしれない。
halfboileddoc.hatenablog.com



最終的には上手なストーリーテリングで、ハッピーエンドにおさまり、よかったよかった。
主人公のパートナー的な立場におさまるダークヒロインも幸せになったようで、よかったよかった。