オススメ度 90点
子供向けなのね…度 100点
「失敗学」という学問がある。
『失敗学のすすめ』 (2005年4月、講談社) の著者・畑村洋太郎が提唱し、立花隆が命名したらしいが、こういう考え方は、医療安全の分野にも援用されている。失敗をただの失敗と捉えるのではなく、同じ失敗を繰り返さないための方法論を追求・探求する学問。
まあ、普通に経営学とか自己啓発本の多くにも、失敗はたくさんしてもかまわないが、諦めずに成功するまで続ければよい、とだいたい書かれている。しかし、その失敗の中から効率よく学ぶ方法論が失敗学、というところだろうか。
ただ、この本は、失敗学というよりは、歴史上の偉人のダメなところとかもクローズアップして、そこからどう立て直したか、ということを書いてある本。
まあ、個人レベルでの失敗学の成功ケースといえなくもない。
子供向けの本であるので、出ている人はだいたい見たことある人。
しかし、この失敗も含めて描くというのは、僕が昔子供の時に読んだ「世界の偉人伝の伝記」みたいなやつとは随分と違う。
昔の偉人伝は、そういう失敗については、そこまでえげつなくクローズアップされてはいなかったように思う。偉人の欠点を書くことが憚られていたのだろうな、とは思うね。あと、人生序盤の失敗は後段の成功のスプリングボードになるから書かれやすいけど、晩年の失敗は砂を噛むような苦さがあるので、子供向きと判断されるのか、さらりと流したりしていた(この本でいうと、ライト兄弟とかマッカーサーだろうか。マッカーサーはこの前読んだ「指揮官」という本でも取り上げられていたけど、かなり特異な軍人人生だったんだなとわかった)。
子供に「えらい人も失敗しまくっているんだよ」というのを見せるのは、いいと思った。
失敗が許されない(と思っている)進学コースの受験生の子供にこそ、読んでもらったらいいのかもしれない。
いろいろ取り上げて、最後に
偉人:「お父さん・お母さん」
失敗:愛しすぎる
という項を設けていたのは、さすがじゃなあと思った。