半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『はじめての暗渠散歩』

オススメ度 70点
昔の疑問が解けた度 100点

もともと川だったところを地下に埋めて暗渠化する。
これは都市化のプロセスとしてよくあることだと思うが、ではその暗渠化された川はどうなる?

もともとの住宅のドブ川は住宅を背にして流れているし、上下水の取り付け口も川側につけられている。その川がなくなったって、家並みは急には変わらない。

大規模な造成があるならともかく、だから川の多くは道路になるし場合によっては公園や歩道になる。多くは、小川の自然なカーブを残しつつ。

そういうわけで、アスファルトジャングルと化した都市の中に自然の地形の痕跡を残したものが残っている。暗渠マニアはその辺がたまらない魅力なようで。この本は暗渠マニアの入門の本。
タモリさんが好きそうなジャンル。

私は人生の約半分を地方都市で暮らしているが、人口圧がなければ、費用をかけて暗渠化はされない。
私の街では用水路はまだまだ残っている。*1
都市化された風景の中に自然の痕跡が残っているというのが暗渠の醍醐味だと思うが、暗渠は都会の象徴だよなー…田舎のネズミにとっては。

と、恨み半分*2読んでいたら、関西も少しだけ取り上げられていた。

私は学生時代神戸の大倉山(駅でいえば高速神戸)に住んでいたのだが、西に少しいけば、福原、そして新開地という昔の歓楽街があった。*3
山ノ手幹線道路を西に抜けると、よくわからないトンネルが神戸電鉄湊川駅のあたりにある。
トンネルをぬけて、長田、そして須磨の方にぬけてゆく。
高架の上には湊川公園があった。*4

学生のときに、なんでこんなところに階上の空中庭園があるんだと思っていたが、実はこれも、暗渠なのだ。
あれは昔「天井川」だったらしく、埋め立てて公園にしたものらしい。
へー。

昔住んでたところが取り上げられていると、やはりちょっと興味をひかれるもんだと思った。

*1:これには事情もある。当地は以前は日本住血吸虫の好発地であり、それの撲滅のために大正時代から昭和初期という早い時期に、用水路のコンクリート化が推し進められた。そして水利組合に強い発言権を与え勝手に動かせないようにしているので、当地では暗渠化が逆にひどく遅れているという現状がある

*2:これについては恨みもある。病院の裏手のドブ川は悪臭を放つし、暗渠化したいのだが、水利組合というのがとかく動かないので、30年来解決できないでいる…

*3:そう言えば、借りていた駐車場の裏手にはソープランドがあった。なんか当時でも時代ものなので、行こうとは思わなかったが、後学のために行っておけばよかったかもしれない

*4:あの辺に古びた模型屋があって、年代物のプラモデルを売っていたが、あの店はいったいどうなってしまっただろうか…