ちょっと前に中野信子女史が書いていた京都の悪口本を読んだが、その流れでこの本に。
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(直接は関係ないけれども京都の「イケズ」が面白かったので)
コロナ禍で東京一極集中の是正が叫ばれるが、事はそう単純ではないと井上氏。私たちの東京への思いは複雑で、長尺の歴史から捉える必要がある。そう、京都から東京に天皇が移り住んだ時代まで遡って。『京都ぎらい』の井上氏に対するのは、二都を往復する気鋭の建築家・青木氏。二度の東京五輪と大阪万博など、古今東西の都市開発のレガシーについて論じ合う。
内容は多岐に渡る。
系統的な話というわけではなく、いわゆるランドスケープを主題にすえた印象論のようなコラムのような感。
もちろんそれぞれの分野での泰斗である両者の切り口で、いろいろ面白い話だった。
強いテイクホームメッセージがあるわけではなく、経験豊かなおじさんのこぼれ話を聞いているような風情の本。
肩肘張らずに読める。(その分何かが強く残るわけではない)
以下、備忘録、
- 今の都市景観はブルジョワの覇権の裏付け。
- ヨーロッパでは都市建築の外観は都市の公共性に奉仕するものだとされている。制限が大きい。東京大阪ではなんでもあり。
- 省庁の地方移転にまつわるアレコレ。官僚は都内からでることをいやがる
- 京都=「みやこ」という地元の人の感覚はあるけど、帝都は結局のところ東京か
- 昔はオリンピックは万博の余興でしかなかった。万博の会場が技術コンクールの場ではなくなっていくにつれ、万博はだんだん展示物よりも展示へウェートをおくようになった。
- 戦前は神宮球場はプロ野球は使えなかった(学生は使えた)。当時は職業野球が見下されていたため
- 昔は当たり前だった「水上生活者」
- 神戸女学院のヴォリーズ建築
- 平安神宮の池