半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『アンダー・プロトコル 政財暴一体で600億稼いだ男の錬金哲学』

オススメ度 70点
ワクワク度 100点

西原理恵子の漫画でも度々とりあげられていた「猫組長」の半生を振り返った本。

生い立ちから、若い頃の金儲けの時代。
大学をすぐ中退して、株にあけくれ、バブル崩壊の時期に、資金難となり、ヤクザのバックアップを受け、金儲けを行う。
石油に目をつけ、順調に取引を続けていたが、アメリカ政府に預金口座凍結されてしまうまで。

今はヤクザからは足を洗っているということだが、その足抜けのあたりについては、詳細は省かれている。
面白いのは、裏の世界に入ってからの話だ。
ビジネスの表と裏、国際金融の表と裏が、それこそ体験した人にしかわからない密度でかかれている*1こういうのを改めて読むと、落合信彦とかの書いてた世界も、荒唐無稽じゃなかったんだなーと思う。

一言でいうと、国際社会のありようについて、表の顔では窺い知れない世界を支配するアメリカの凄さ、というところだろうか。


それにしても、自分を客観視する訓練はもうちょっとしておいた方がいいのかもしれない。若い世代の人たちはSNSなどのおかげで、上の世代よりはるかに多くの自己客観視の訓練を自然と積んでいる。

以下、備忘録ーー
・9.11以降、国際標準の送金方法を支配しているのはアメリ
・世界における日本のナショナルバリューは圧倒的
・結局は資金力。他人資本をどれだけ調達できるかが鍵を握る。
・蓄えることを楽しむ人と、次の投資を考えながら蓄える人では、同じ貯金金額でも意味が違う
・不動産ビジネスは人間の思惑に近い場所で取引が行われるので、情念に近く生々しい。金融業の方がゲームっぽい。
・巨額を借金できるということは能力である。逃げなければ死なない。
・株は「買うものではなく売るもの」
・「よいしょ」によって人間関係を築こうとする人は、人を脈にする行為とは最も縁遠い。
・大量の一般投資家という名の素人ー「人」の参入が崩壊のサイン。崩壊からは逃げるのが最良の選択肢。

*1:そんな世界にはよう行かないので検証しようもないわけだが。