半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『ぽつん風俗にいってきた!』

オススメ度 50点
わびさび度 80点

ぽつん風俗に行ってきた!

ぽつん風俗に行ってきた!

  • 作者:子門 仁
  • 発売日: 2018/06/13
  • メディア: 文庫

昔ながらの店舗風俗の探訪記。

風営法の許可は年々厳しくなっている。基本的には風俗は、繁華街なら許可がおりやすいが、住宅地域はPTAとかも反対するし許可がおりにくい。
なので地域の中にぽつんと孤立して営業している店舗は、昔に許可がおりたようなお店。
要するに孤立店舗の風俗は、昭和の佳き時代に建てられたビンテージ物件なのである。

老舗店舗は建て替えもできないので、風俗の形態も時代遅れのものだったり、建屋の構造も狭くて古い形態であることがほとんど。
そしてなぜかそういうところの風俗嬢(嬢といいますか…)も、まあどちらかというとオーセンティックな雰囲気が多いようだ。

とはいえ、私は風俗には行かないマンなので、今ひとつ感情移入はできなかったのだ。
そもそも男が金銭を対価に風俗で性欲処理をするという構造そのものが昭和的な文脈で許されているもので、風俗店舗そのものが前時代の遺物とも言える。この探訪記からは、そうした古い価値観が書面のこちらにも匂ってくるね。*1
その意味で、古い店を訪ねるこの本とも読み味は近いように思われた。
halfboileddoc.hatenablog.com


ただ、私はジャズが趣味だったりする。
ジャズの店とかは飲食店の中でいうとこういう「ぽつん風俗」に近いような変な店なわけで。

なんとなく、店に入る時のドキドキ感であるとか、面食らうジェネレーションギャップであるとか、近い感じはする。
店のスタッフの一癖ある感じとかも、多分似ている。

* * *

今回のコロナで、ジャズの店も老舗が廃業の危機に晒されているけど、
こうした風俗店舗も多くは休業、そのまま廃業してしまうのかなあと思うと、少し寂寞たるものがある。

まーしかし、こんな超天気がいい日に、この本の紹介ってどうなん俺。
しかも今日「こどもの日」やで!ほんまに。

*1:まあそれも良し悪しだとは思う。今はパパ活とかだったりもっというと格差による性の格差は昔よりも見えにくく、拡大しているかのように思われる。むしろ金、という無味無臭なものの方がわかりやすいんじゃないか。とさえ思う