共著者の喬良と王湘穂は、どちらも中国人民解放軍の現役将校。
中国語の原著は、人民解放軍の出版部から出版されて中国でベストセラーになっていたそうだが、すでに現代中国では古典となりつつある著作が新書で紹介されていたので興味をもっている。
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いまだにネトウヨの人たちはアジア蔑視というか、韓国や中国を下にみる風潮があったりするけれども、とんでもない話。
中国人は非常に頭がよい。もちろん後背人口が日本の10倍で優秀な人材の輩出確率も高い上に、激しい競争と、競争によるインセンティブが明確でもあり、人材力としては比べるべくもない。
個人的な感覚でいうと、聡明な日本人は「目と手」に優秀さがあるけれども、中国には「脳」そのものがいい人が(そんなに沢山ではないだろうけど)いるような気がする。覇権国家というか、帝国を作り出すのはアングロサクソンとか中華帝国なんだろうなあ。
日本は無理だわ。
で、この本は9.11を予言したといわれている本。
湾岸戦争の本質的な意味は、戦争のパラダイムが変わったということ。
通常兵力による侵攻という部分だけでに戦争の範囲を定めるべきではない。
もちろん戦術やドクトリンのレベルでも湾岸戦争は大きな転換点となった。
航空兵力(特にヘリコプター)の統合運用や、航空兵力の単独制圧力、対戦車能力の高さ、また単一兵器の集中運用ではなく複数の兵器を同一の指令系統に混在させることによる相乗効果が思ったより大きいということ(必然的に、今までの師団編成から部隊編成の革新が求められる)
総論的な話であるが、非常に説得力のある論考であったし、こういうコンセプトを元に中国軍は対米国との非対称戦を仮想して戦力を築いている。対して日本はここまで明確なグランドデザインにのっとって軍備ができているのか。
頭でも金でも負けている日本は、もっと弱者の戦い方を考えておかないと、えらいことになるよなあ…と思う。
* * *
普段から「ありとあらゆる物事が現代では戦争と地続きなんだよ」と言っている中国政府が、
今回のコロナで、変な動きをみせていたら「やっぱりこれは中国政府の陰謀なんだ」なんて疑われてしまうよね。
いや、実際に、コロナそのものは自然発生だったろうとしても、その後に生じる諸外国の状況を、中国政府はやはり利用するだろうし、明確にしている。こういう点では日本人っていうのはお人好しだけど、多分世界を制する国、アメリカとか中国とかは、この状況も冷徹に利用するんだろうね。
以下、備忘録:
・ジョージ・ソロスが東南アジアの金融に与えた攻撃は、ある種の戦争と受け止められても仕方がないものだった。
・遠距離にあるある多くの兵器がリアルタイムで協力し、これまでにない作戦能力を実現した。
・戦争の境界と限度を超えた戦争。
・兵器革命は常に軍事革命に一歩先んじている。(逆にいうと兵器の開発のあと、軍事の革命が起こる)
・ローテクな兵器も、ハイテクな兵器と合わせて運用すると、効果的に使うこともできる。