オススメ度 90点
洋書なのであるが、『幸せをお金で買う』と言えば、昔のホリエモンの尖った言辞「変えないものなどない」を思い起こさせるのだけど。
これはそういうのと少し趣が違っていて。
幸せを「お金で買う」部分にはそれほど重きを置かれていない。
幸福度が増えない人に対して、ではどうすればより人生の幸福度を増すことができるか、特に経済的な行為(購入など)に関して、という研究である。要するに、「より幸福なお金のつかいかた」くらいに思った方がいい。
ざっくりまとめると、払ったお金に対してもっとも大きな喜びを得られるのは、
- 他の人々と交わることによって、社会的なつながりが生まれる
- 何年にもわたり楽しい気持ちで繰り返し語ることができる思い出話につながる経験
- あなたが感じている自分という人間、あるいはなりたいと思っている自分像に密接に結びつく経験
- めったにないチャンスを与えてくれる経験
洋書の翻訳なので、ところどころ読みにくい部分はあるが、様々なエピソードを踏まえて語られる。
収入を増やす方法を考えることも大事だが、自分の収入の範囲内で、より幸福感のあるお金のつかいかたができたら、より人生がカラフルなものになるのではないかと思う。確かに。
ちなみに、この本を読んで感じたことだが、「ふるさと納税」っていうのは結構この幸福の要件を満たしているんじゃないか。
ふるさと納税は「特定の地域」との関わりを増やし、他人に対してお金を使っているという感覚も得られる*1
先にお金を払って気が付いたころに商品が届く。
その意味では「定期便」スタイルはなおさら有用かもしれない。
出張にいく、もしくは、仕事上で知り合った人の出身地などをきっかけにふるさと納税を行えば(定期便で)幸福感が強いかもしれない。
(以下備忘録)
- モノではなく経験
- ライフスタイルが変化することで幸福を感じやすい
- ご褒美が限られた時間内でしか手に入らない場合に、私たちの幸福は最大になる
- 中断(TV番組のCMなど)は、一時的な幸福を下げるが、リセット効果により幸福の総量は増えるかもしれない
- やっていないことに焦点を合わせるよりもやっていることの価値をみとめるように
- 自分への、他の人への「ご褒美」はしばしば幸福度を増やす。
- 時間に高額の価値があると感じると、人々は時間がますます不足していると思うようになる。なので他人のために時間を使うと、自分の時間がたくさんあると錯覚できる。
- テレビは幸福度をあまり増さない
- 先に支払ってあとで消費する方が幸福度を増す。
- 消費経験自体はかなりの短時間で終わってしまうような事例の場合、消費を先送りすることで、経験そのものよりももっと多くの喜びを引き出すことができる貴重な機会が得られます。
- 金額の多寡にに関わらず、他人のためにお金を使うことは私たち自身の幸福感に大きな影響がある
- 他人への投資と他人とのつながりがもっとも大きな幸福をもたらした。
- 時間を人のためにつかうと、自分には人に分け与えられるほどたくさん時間があるに違いないと感じるのと同じで、お金を人にあげると、人にあげられるほどたくさんお金を持っているような気持ちになる。
*1:実際は税金なので、商取引をしているというわけではないのだが