オススメ度 100点
脇役ののんきそうな顔がまたよし度 100点
誰かの本紹介Blogで取り上げられていたので読んでみた。
おお、これはすごい。
今出ているものを買い集めてしまった。
どういう漫画かというと、すこし不思議(ホントとも嘘ともつかないような)なエピソードの日常漫画。
読み味は、つげ義春に極めて近い。
背景は、精巧でありながら、魚眼レンズ的なパースが強調された黒墨の趣のある絵。
なおかつ、パースの歪みは、いわゆる漫画のコマ割りや動線に沿っている。
よく人物の動きを表現するために微妙に精巧なデッサンを狂わせる、というのはよくある。
しかし、背景の方を歪ませる技術は、主流ではないが、脈々とはある。
その技術が、おそろしくうまい。
そもそもこの人の描く荒い素描画、簡潔にしてうまいのだ。
これ、章と章の間に扉絵みたいに描かれた素描なのだが、めっちゃ上手いと思わん?
しかも、イラストにするのに、ここ切り取る?
ただ鉛筆でしゃしゃっと描いてるだけなのに、うまさが滲み出てる。
こういううまさ。
とにかくページごとに見とれてしまう。
そして、ふわっとしたテイスト、主人公に女子をもってくる感じは、吾妻ひでおっぽい感じもある。
主人公以外にわけわからん異種族が出てくるところはますむらひろしっぽくもあるし、線のおどろおどろしさは諸星大二郎っぽさもある。
なので、そういうのが好きな人は、ぜひ一読いただければと思う。
まさか令和の時代になって、つげ義春の正当後継者みたいな(しかも『無能の人』ではなく『夜が掴む』の系統)作品に出会えるとは思わなかった。
挙げた四作はどれも面白いのだが、どれもまあ一緒っちゃあ一緒。
この先なんらかの中編ストーリー漫画を描くことがあれば、非常に楽しみではある。