半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『文豪どうかしてる逸話集』

文豪どうかしてる逸話集

文豪どうかしてる逸話集

多分、発端はなんかのWeb記事。
明治大正期の文豪は、今でこそ、「文」の「豪」として崇め奉られているけど、実に人間臭いアウトローたちであり、しょうもないエピソードなんてなんぼでも出てくるよ、みたいな話。

そんな文豪たちの、尖ってイキったエピソードを愛を込めて紹介している本。

太宰治とか、夏目漱石幸田露伴尾崎紅葉(紅露時代)、谷崎、菊池寛など、巨星を章ごとにあげて、その周辺の作家を紹介するという方法をとっている。
この構成はとってもうまいやり方だと思った。
文豪名鑑みたいに一人一人、辞典風に紹介する形だと、ちょっと詳しい人じゃないと楽しめなくなってしまう。
誰でも知っている有名どころとその取り巻き、みたいに紹介しているのは知識がなくても楽しめる。
結局友人たちとのやりとりって、みていても微笑ましいものだし、現代でも、友達の間での「武勇伝」みたいなものが、一番酒場で盛り上がる話ではある。
文豪同士の友人とのやりとりを、現代風にみているだけでも、
「こいつらしょうもねーなー」「こいつキレてんな」とかおもえて楽しい。
ただまあ自分の贔屓筋、たとえば僕なんかだと坂口安吾とかが「太宰の友達」というだけで終わってしまうのは少し寂しくはある。

 個人的には太宰と谷崎のクズっぷりが気に入った。
 太宰はクズだけどめっちゃ周りにも愛されている風だし、
 谷崎はやはりクズだけどその生来の変態が災いして若干敬遠されている感じがある。
 今TV番組で紹介されたら、太宰は、まあまあ爆笑をとる感じだが、谷崎は「えー…」とか「イヤ…」とかフロアがざわざわする感じ。



 あと、菊池寛の割り切ったパトロンぶりは、個人的にすごい尊敬する。
 人間こうでなくちゃいかん。