オススメ度 80点
シニカル度 80点

- 作者: フィリップ・プレイト
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2019/01/31
- メディア: Kindle版
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『ムー』っぽい話? と思ったけど、いわゆる「アンチムー」的な人の話だった。
作者フィリップ・プレイトはバリバリの天文学者・宇宙物理学者。
どちらかというとオカルト撃退の立場の人らしい。
そんな人が、宇宙から突如発生しうるカタストロフ・イベントについて詳しく解説。
隕石・流星・彗星・小惑星の落下。
太陽フレア、黒点活動などによる地球への影響。
超新星、ガンマ・バースト(GRB)、地球外生命体、ブラックホール、赤色巨星、
そして、いずれ必ず起こる宇宙そのものの死。
大気圏への天体の落下と太陽黒点活動、GRBについては、もし運悪く遭遇してしまったら一瞬で文明も、命も終わる。
ただ、何100億年も先のことだが、最終的には宇宙も拡散して、熱力学的に死ぬ。
必ず我々の宇宙は終わる。
* * *
小学生の時には、こういうこと、「地球危うし!」「宇宙危うし!」みたいなことを読むと、それで死ぬことがとても怖かった。当時は東西冷戦、核兵器の潜在恐怖もあった。
小さい頃は、死ぬことについて、よくわかっていないながら、死ぬことがやっぱり怖かった。
ただ、今の僕は45歳。子供もいるし、仕事としてもまあ、うまくやっている。
僕は成熟した大人になり、もう折り返し地点も過ぎてしまった。
もちろん、自分が先に死んで、世界は何事もなく続く。
どうせ遠くない将来にそれは必ず起こる。
どうせ自分は死に、1年も経てば、僕なんてはじめからいなかったかのように僕のいない隙間は埋まってしまう。
それを思えば、自分が死ぬときに、一緒に世界が終わることなんて、なんとも思わないな。
* * *
僕が歳をとってしまい、こういうダイナミックな話に感動できなくなってしまった。
語りは軽妙ですごくわかりやすく、なおかつ描写は具体的でよかった。
人間の文明活動なんて、はかないもんですな。