オススメ度 80点
フレアバーテンダのこと知れた度 90点
- 作者: 早川パオ
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2017/07/14
- メディア: Kindle版
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昔から書痴というか濫読家だった僕は、まあ博識な少年だった、と言ってもいいだろう。
そんな頃、文学・小説にでてくるお酒、カクテルやウィスキーなどにも興味津々だった。
大人になったら、お酒の蘊蓄を語ったり、バーとかにいって美しい女性と会話を楽しんだりするシャレオツな男性になるんだろうな……なんて、なんとなく夢想していたのだ。
だが、現実は違っていた。
そもそもお酒は好きではないし、そんなに強くもなかった。*1
おまけにタバコも苦手だ。*2
ダンディーなおじさん、に属性だけでもひっかかっている「ジャズ」という趣味は手に入れた。が演奏する方ってそんなにシャレオツでもないのだ。演奏のない普通のバーにはほとんど行かなくなった。*3
結局半端な酒の知識だけが残った。
行かないし、味わわないのだから、知識としては片手落ちなんだ。
これなら、地道にいろんな酒を飲み歩いてきた無学なおじさんの方が酒を知っている、と言える。
「サーキットの狼」に憧れていた小学生が、大人になってダイハツムーブに乗っているのと大して変わらない。
この本はKindleでなんとなく出会って買った、女性バーテンダー(バーメイド)の話。
3人のバーメイドが同居している。
一人はいかにも主人公らしい、社交性のない天才肌(おまけに、夜が弱いというバーメイドにとって致命的な弱点もある)。
一人はホテルのオーセンティックなバーに勤務している控えめだが実力派の長兄的な女性。
一人は、ややビッチテイストなトムクルーズ「カクテル」のようなフレアバーテンダー(なんかジャグリングみたいな動作をしながらカクテルを作る)。
三者三様でバランスもいい。絵もうまいし、ストーリーテリングも、これはまあ最近よくあるグルメ漫画の定型ではあるが、上手いもんです。女性の絵に自信がある方なんですね。
飲まないけどバーに行きたくなった。
ただ、バーというのはそれなりに男性文化でもあり(イギリス、アメリカの「クラブ」文化を受け継いでいる)、バーの女性というと、ピンクキャリア的な意味あいに陥りやすいが、その辺はうまく、そうじゃないように描写している。この辺のジェンダーレスっぽい描写は、いかにも平成から令和の作品だよなと思った。
あ、ドラマ化もされているのね?しかも今クール。だからプロモーションされて、僕の目にも止まったのか。