半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

雑司ヶ谷2編

オススメ度 90点
男にレイプされて肛門括約筋がメリメリと裂けるシーンOh No!度 100点

さらば雑司ヶ谷 (新潮文庫)

さらば雑司ヶ谷 (新潮文庫)

雑司ヶ谷R.I.P. (新潮文庫)

雑司ヶ谷R.I.P. (新潮文庫)

買って一年くらい置いていた樋口氏の雑司ヶ谷シリーズを読んだ。読み始めたら一息だった。

樋口氏との出会いは、ベストセラーになった「タモリ論」。これは駅の売店で平積みされたのを買った。

タモリ論 (新潮新書)

タモリ論 (新潮新書)

だって、この新書だけだとわからないけど、当時はこういう帯がついていた。
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そりゃ目を引くでしょ。買うでしょ。

その中で、自作「雑司ヶ谷」の話が引用されていて、まあそれは、オザケンのくだりだったんですけれども、そういう柔らかいコラム的な文章だったので、この雑司ヶ谷の小説も、そういうサブカル小説かなーくらいに思ってたんですよ。

………全然ちゃうやん。
クライム・ノベルというか、ノワール小説という、アンダーグラウンドな趣きのドキドキする小説でした。

中国から久しぶりに戻った俺を出迎えた友の死。東京、雑司ヶ谷。大都会に隣接するこの下町で俺は歪んだ青春を送った。町を支配する宗教団体、中国マフィア、耳のない男……。狂いきったこのファックな人生に、天誅を喰らわせてやる。

主人公は、雑司ヶ谷に本部があり全国に信徒をかまえる新興宗教の教祖の孫。
教祖から仕事を依頼される、という、推理小説っぽいお定まりの導入から始まり、主人公は東京を舞台に地獄めぐりをはじめる。

「泰幸会」という宗教団体は架空のものであるが、とにかく国家の中枢とも懇意な宗教団体という設定で昭和の事績のいろいろにも、実は泰幸会が関与している、みたいなね、言ってみればフォレスト・ガンプ的なフィクションの構築が面白かった。

伏線のはりかたの緻密さは伊坂幸太郎のようでもあるし、暴力描写やスピード感はXX(うまい例がおもいつかない)のようでもあるし、池袋ウエストゲートパーク的な町巡りの面白さもある。
なんか、そういうのを渾然一体としたどえらいもんを見せられた感はある。

続編の『雑司ヶ谷 R.I.P.』では、さらに、伏線を回収し、色々なサイドストーリーが輪が閉じて面白いというかなんというか。
娯楽小説かくあるべし、というのをみせつけられた。
面白かったっす。

ただ、誰におすすめすべきなのかが、今ひとつピンとこない。
サブカルチャー・東京カルチャー好きの人。犯罪小説・刑事物が好きな人。
アブノーマルな性描写大丈夫な人。
伏線回収が好きな人。かしらね。

ところで、これが、私の平成最後のエントリーになります。
よかっただろうか。
うーん。