最近Web記事で、「GW中にもっとも人の少ない駅に行く」みたいな記事を読んで面白かったので、
その記事も入った書籍を読んでみた。
「旅」を愛する、すべての人へ。
日本旅行作家協会(会長・下重暁子氏)「旅の良書」認定作。古市憲寿氏、田村淳氏、中瀬ゆかり氏、ダ・ヴィンチ・恐山氏など、各界から絶賛の声、続々。
Web記事累計600万PVの会社員ライター、鮮烈のデビュー作。
うん。面白い。ライター兼会社員の岡田さんが、国内・国外いろいろなところにいった記録の、よりぬき集といったところか。
第一章海外編は、南極を皮切りに、なかなか行きにくい難易度高めの旅行先の体験記。
それなりに面白いが、クレイジージャーニーとかそういう取材旅行や冒険記なものからすると、少し味が薄く感じられる部分もある。バックアップのない海外においてことさら危険な行動をするのは危険でもあるし、たとえばおおっぴらに取材をしているわけではないので、画像・映像などについても限定的なものにななってしまうのは仕方がない。危険地域に行くことがスタートラインである「取材」と、ゴールである違い、といえば適切だろうか。
しかし、一般人ではなかなかいかないところに果敢に挑戦しているし、これはこの方の旅行のほんの一部なわけだが、第二章、第三章をみるにつけ、おそらく、場所がどこであれ面白く読めるものを書く才があるので、この海外編はその点では題材を尊重するあまり、良さがみえづらいのかもしれない。
第二章国内編。第三章近所編。
誰でも行けるはずの場所の記録ではあるが、それこそが作者の個性がでていて面白い。特にWeb記事となっていた箱根ヶ崎や大学の所属していた部活のルーツを遡った国立編はめっぽう面白い。
第三章の近所編はさらにその極み。結局のところ、この人そのものの視点そのものに面白さがあるのだなあと再確認させられる。コロナ禍とか、だいぶしんどかったろうに、乗り越えてよかった。
これからもいろいろ旅して見聞きしたことを書いてくれていたら、多分いろんな人の旅行のきっかけになったり、考えるきっかけのさざなみになったらいいなあと思う。
とはいえ、Web記事で濃密に見える記事も、書籍にして雑多な情報をクレンジングした形にすると、フックが減ってしまうのも事実。コンテンツっていうのは大なり小なりメディアに最適化して構築されるわけで、ウェブライティングの難しさだと思う。