- 作者: いしいしんじ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03/28
- メディア: 文庫
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ああ、いい話。
以前に読んだ 『東京夜話』や『ぶらんこ乗り』の感想では、ストーリーに振り回されるという印象を、楳図かずおと似ているなんて書きましたが、このおはなし(どうしても、小説という言い方よりも「おはなし」という風がしっくりくる)は、ものすごく周到に練り上げられています。
物語的小道具に過不足は一つもなく、出てきたもの/伏線には必ず出番があって、まるで古典童話のように、無駄がない。物語的な整合性が高く、まるでよく出来たゲームをやっているような気にさせられました。そういった意味では、物語に鼻面引き回されている感じは今回はしませんでしたが、とにかく感心しました。