- 作者: 福田和也
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 文庫
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福田和也が、ビートたけしの「ジャン、ジャン!」で終わる雑誌の放談のように書いている、放言本。
本の半分近くが、特定アジアに関する(控えめに言って)批判、はっきりいうと悪口で埋められている。
読んでいてあまり快いものではなかった。なぜだろう。悪口とはいえ、他の特定アジア悪口本と比べても、それほど理不尽なことを言っているわけではないのに。
たぶん、この連載がWoooooとかいうエロ本で連載されたもので、福田和也は、その読者層を勝手に規定し、「彼らむけ」(と福田が思っている)無頼な口調をあえて選んでいるように見えるからだ。
文体を通じて、福田和也が読者に対し向けている軽蔑が透けてみえる。
以前読んだ魂の昭和史という本は、中高生を想定読者としているのか、ひどく慇懃な口調で説明をしていることにも違和感を抱いたのだが、その違和感の謎が解けた。
彼は、人を見て言い方を変える輩なのだ。
自分より下と思っている人間に「あわせてやっている」ようにぞんざいな口調を使っているようなのは、僕は嫌いだな。(逆はまだ許されると思っている)。
SPA!で坪内氏とやっている放談は、それでもまあまあ面白く読んでいるのだが、福田氏のあのマチズモというか、無頼気取りというか、ああいうのは一体どんな精神構造から来ているのかに興味がある。