- 作者: 池上俊一
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/09/05
- メディア: 文庫
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だいたい、そういうエキナカの店は品揃えが少ないから、無難な本ばっかり置いてあるのが常である。移動中の暇つぶしが目的で読む本なんて無難こそが正解だし。そのような限られた選択肢の中から、娯楽的というか、別にためにならなくてもいい、いっちゃえばくだらないひまつぶしの本を買って読むことは私もよくあります。
こういう売店で売られていたことから逆算して、この本も「ビックリ!中世ヨーロッパはこんな世界でした!」みたいな、雑学的な内容と当て推量したわけですが、……うーん?、なんか違うぞ。
こういう言い方をしていいのかどうかわからないけど、駅の売店で売られている本が対象の読者を想定しているように思えない。一般的なオツムの程度を少々逸脱しているように感じられた。えらく読み応えがあるんだもの。
暗黒時代といわれた中世ヨーロッパ。現代の日本人からはちょっと想像できない時代感覚のなか、例えば地獄・煉獄譚などをキーワードにして、中世の思想史を比較的丁寧に論考している非常にハードでアカデミックな本でした。これ、キオスクで買った大多数の読者(僕みたいにあまり考えずに買ったはずだ)の多くも「なんじゃこりゃ」と思ったんじゃないだろうか。自慢するわけじゃないけれども、僕結構読む本のキャパシティ広い方だと思っているのです。でも、僕でもちょっと重たすぎた。
かる〜い気持ちで始めたビリーズ・ブートキャンプだけど、本当にアメリカの海兵隊員になれるレベルのトレーニングだった!みたいな感じです。もしくは、朝だから軽食……と思ったら、がっつりこってりしたもの食べてもうた、という気にさせられました。
しかし、内容がハードな分、読み応えがありました。
これが、ドイツへ出張に関空発ルフトハンザにて向かう大阪行きだったから面白い。そういう僕の無意識が本の選択に影響した可能性はあるわけですけれども。
そういえば、随分昔に、光栄のゲーム『大航海時代』とかやっていたら、プレスター・ジョンとか、海の向こうのヨハネ治めるキリスト教国とか、そういう中世に信じられていた、世界の果てにある何か、みたいなんがポロポロ触れられていました。
あー、中世の常識僕にないなーと思ったものでした。それにもう一度出会うとは。