アーティスト症候群---アートと職人、クリエイターと芸能人 (河出文庫)
- 作者: 大野左紀子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/07/05
- メディア: 文庫
- 購入: 22人 クリック: 233回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
自分の中で、無意識にバランスをとろうとしたのかもしれない。
いつの頃からか、画家や版画家や詩人とか、そういう言い方ではなく「アーティスト」という表現が幅をきかせるようになったのだろう?
という素朴な疑問から、現状の「アート業界」の構造や問題点を、切り取った論評。
芸能人のアーティスト、代表として 片岡鶴太郎とフミヤが取り上げられており、そのDisり方が非常に痛快でありました。この人毒舌だなあ。
また「たけしの誰でもピカソ」「なんでも鑑定団」の構造分析も非常にポピュラーであるが上に興味深かった。確かに誰でもピカソは「アート病」(としかいいようがないもんね)の人達に多大な悪影響を及ぼしたようにも思う。
そして、この本は、またある種の内部告発でもある。筆者もパルコ文化にどっぷりつかり、80年代に思春期を美大ですごし、その後アート活動をしながら美大の予備校の教師をしていた経歴を持つ人だからだ。
美大に入りたい学生と予備校教師との悲喜こもごもの受験話とか、そういう個人的な体験談も面白い。
実に面白く、痛快でもあり、また痛いところを探られた気にもなる一作である。
あたしもまた、サブカル病だからね。