- 作者: ジョン・ハート,東野さやか
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/02/06
- メディア: 文庫
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長編小説は、未だに、読み始めるのに軽い抵抗を感じる私の、悪い癖だ。
このたびまた東京に出張になったのだが、家にあったこの本をひっつかんでとびのった。
幸いというか、PCを開いたりもできず、また携帯の電池も切れかかっていた事もあり、 集中できました。 福山から読み始めて、読み終わったのが三島のあたりだったから、分量にしてはかなり没入できたのだと思います。
物語の舞台は、どこにでもあるアメリカの田舎町。 主人公は5年前に殺人容疑で逮捕されたが、証拠不十分で無罪になったものの、街から追放同然の扱いをうけてニューヨークに住んでいるのだが、かつての親友から電話がかかってきたことがきっかけで、街に戻ってくる…
という、ベタな、巻き込まれるシチュエーションにて物語が始まります。
いろいろなアメリカの親子関係とか、アメリカの社会ならではの問題はあるのだけれども、息つかせぬ展開が続き、少なくとも退屈はしません。 アメリカ版赤川次郎みたいなもんだと思います。これはおとしめているわけではないです。
すごくよくできてる。
これこそが小説、って感じでした。
好きな表現をいくつか:
この土地が僕を吐き出して何年にもなるが、いまも僕という味はするのだろうか。
「深い意味はないのよ」さっきの言葉を繰り返した。しかしそれが嘘なのは、僕も彼女もわかっている。交合は一瞬で完璧だった。
崖から足を滑らせたかのように。
「だからたつものもたたない。不能なんだ。やつの鉛筆にはわずかな芯も残ってない」
角を曲がったところに、紫色に見えるほど黒い肌をした少年が立っていた。
彼女たちは貧相な男とともに古い車で乗り付け、わずかばかりの光をうけてどうにか輝きをはなつダイヤモンドをみにつけていた。
親子の確執のようなものが軸になっている点では主人公が傍観者ではないのですが、主人公はなにがしか「探偵」的な行動をとっているわけで、これはレイモンド・チャンドラーとかと同じ、ハードボイルド小説の系譜と言っていいんでしょうね。それとも一般アメリカ男性のかかえる孤独感は非常なものがあるらしいが、アメリカの男性は基本、ハードボイルドなんだろうか。