半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『八甲田山 特別愛憎版』

八甲田山 特別愛蔵版 [DVD]

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 テレビで何度かしか見たこと無かったのですが「八甲田山」が好きです。あの愚かしさもどかしさがたまらない。

 この前観たくなってTSUTAYAで借りてこようと思ったんですけれども、最寄りのTSUTAYAにはビデオしかなかった。というわけで仕方なく紀伊国屋のビデオコーナーで愛蔵版を購入。

 ところで、『八甲田山』は何映画に分類されるのか。というのは、借りに入ったTSUTAYAでどこにあるのか迷いに迷い、たっぷり40分無駄に費やしたから。自分の感覚では、「災害もの」、例えばツイスターとかさ、ああいうパニックものではないかと思ったのですが、TSUTAYAでは結局軍記もののところにありました。戦史・軍記ものって、予想外に多いんですよね。「レイテ沖海戦」とかそういうの。それは違うような気がするけどなあ。

 しかし、この映画の本質は、災害ものでも戦史ものでもなく、はっきりいって中間管理職悲哀物語ですよね。馬鹿な上司にプランを曲げられ、右往左往するプロジェクト。これは、文字通りに「デス・マーチ(死の行進)」
 馬鹿な上司、というのは自分はそこまでの経験はありませんが、力関係で黙らされ、自分がこれはと思ったことが曲げられる事はあるから、主人公の神田大尉にはひとかたならず感情移入をしてしまいます。

 だから最後のピストルの音で、100人中99人が「ざまーみろ」って思うんじゃないかと思う。そういう風に作ってあるもん。万人をそんなどす黒い気持ちにさせる後味の悪さが、自分の好きな理由なのかしら。

 しかし、改めて観直すと、青森第五連隊、もう少しは進んでいたように思っていたけど…思っていた以上に初手からズッコケですよね。あまりにもひどすぎる。