半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

岡田斗司夫『遺言』

最近なぜか岡田斗司夫チャンネルばっかりみている、みたいなことを以前に書いていました。
無料分の多くはみてしまったわけなんですけれども、いっぱい見ていると、だいたい主張は繰り返しになってくるわけですけども。

あんまり面白かったので、ついでに、著書「遺言」の中から自らの半生、ガイナックスを立ち上げるまで、そしてガイナックスを抜けるまで、主にアニメに関する昔話を思う存分語った本に手を伸ばしました。

注目を浴びたDAICONフィルム時代。オネアミスガイナックスの中の内紛、トップを狙え、ナディアの裏話、宮崎勤事件の影響やアニメ業界のレジェンドの裏話などなど、面白いです。
DAICONフィルムも、オタクの遊びみたいなものだけど、根底にはテーマがあり、メタファーが明確であることを知り、びっくりしました。

以下、備忘録用の書き抜き。興味があったら買って読んでください。

  • 本気度8割、遊び2割くらい余裕がある作品の方が、世間に受け入れられるものが、スケジュール通りにできる。
  • テーマは伝わらなくても、迫力は伝わる
  • 大企業というところは一億出せといっちゃ駄目なんです。最初に「蛇口をひねる」ことが一番大事。(ワンマン企業にはこの手、通用しません。彼ら「損切り」の判断が速いから)
  • 第二次大戦ってアメリカでは「グッドウォー」って呼ばれているんです。
  • 「赤字覚悟で」なんて言うな!
  • 「クラシック」「スタンダード」「ファディッシュ」教養とはこの三つのジャンルの「位置関係を踏まえた知識体系」のこと。
  • ベンチャー企業では、その企業を立ち上げた人たちと、その後創業二年以内に入ってきた人間たちが、その会社が潰れるまで実権を握っています。だから、後から入ってもロクなことはない。
  • 著作権とは「情報社会の中で無意味化しつつある権利」
  • 絵かきは自分より絵がうまい奴に頭が上がらないと言う習性がある
  • クーデターというのは、起こされる側に絶対責任があるんです。「部下の叛乱は100パーセント上司に責任がある」というのが僕の持論
  • 「どんな人生でも幸せならかまわない」「でも目標をもった人生を歩んでほしい」
  • プロデューサー絶対時代から作家主義の時代へ
  • 二十一世紀の現在、僕は「表現の自由」という価値観に、全面的には基本的に賛成できません「二〇世紀後半、文学にしてもアニメにしても、あらゆる芸術が、芸術という建前を掲げて、散々楽しんだ。そろそろ本道に戻って、人格とか道徳というものを語ったほうがいいんじゃないか」というのが僕の考え
  • 宮崎さんにとっては、まさに悪魔のような存在が、鈴木敏夫なんですよ。でも、この悪魔がいないと、宮崎駿というシステムは絶対動かない
  • 今になれば言えるんですよ。エコロジーの反対側の言葉はヒューマニズム

抜書きはともかく、岡田斗司夫というのはオタクの首魁のような存在でありつつ、クリエイティブ業界にも足を踏み入れ、その深淵を見てしまった人。
そういう特殊な人種のありようを言語化できる存在として、やっぱり特別な存在だと思う。
ということで、また折に触れ岡田斗司夫のコンテンツには触れていくだろうなと思った。

時代性とか、時代精神も自分に近いんだよなあ。