半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『未来少年コナン』

旅立ち

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  • メディア: Prime Video

ひっそりと4月から未来少年コナンのデジタルリマスタリング版が毎週NHKで配信されているのはご存知だろうか。録画したものを月曜日の朝、朝食時に観る、というのがここ最近の楽しみだった。

(正直、デジタルリマスタリングの恩恵はよくわからなかったが、ビデオやDVDだと、挿入歌とかが微妙にテープがのびていてピッチが下がったりしていたので、そこは聴きやすい)

のだが、途中から一週間に一本というペースに耐えかねてアマゾンプライムで残りを一気見してしまった。あーあ。

それにしても昭和世代。
『コナンといえば名探偵じゃなくて未来少年だろ!』という主張は、僕が大学生の時にはまだまだ通用していたが、名探偵コナンのTV開始は1996年。今や、未来少年コナン、存在さえも知られなくなってしまった。

若い人へ。
未来少年コナンは、NHKで週一で放映された宮崎駿出世作なのだ。
そういう意味では『ふしぎの海のナディア』とかと同じシリーズになる。
そしてジブリを設立する前の宮崎駿の、後年の宮崎駿らしさが随所に溢れ出た、ジブリの原型のような作品なのだ。
コナンの超人的な動きは、のちの『ルパン三世カリオストロの城』のルパン以上であるし、冒険のワクワク感は『天空の城ラピュタ』のテイストに極めて近い(コナンはパズー以上に超人だが…)
見たことない人はとりあえず見てほしい。
少し画面は古いが、構成やカット割は素晴らしく、飽きさせない。
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  • まず世界終末戦争が起こったのは2008年…12年前かあ…。物語の舞台は2028年らしい。まあ『北斗の拳』の舞台が199X年であることから考えるとまだましなのかもしれない。
  • ラナとコナンの深い愛が全編に渡って描かれる。すごいなあと思って観ているのだが、こっちの精神状態がささくれている時に観ると、だんだん腹が立ってくる。コナンにしてもまあ生まれて初めて会った同年齢の異性がラナなので、ある種の「刷り込み」なんだろうけどね。性欲…といってしまったら身も蓋もないのだろうが。
  • バディものとしてみるとコナンとジムシィの友情もよくできている。ジムシィもコナンに負けず劣らずタフで怪力な童子。性格はややクセあり。物語中の役割ではコナンの圧勝なわけだが、しかし、ロン毛をヘアゴムでまとめ、首元にはチーフを巻いていたり、よく考えるとなかなかのお洒落だ。上半身は裸だけど。しかしかくいうコナンは短パンにタンクトップ。これはなかやまきんに君と同じではないか。
  • モンスリーのだんだんコナンに共感して味方になるところとか、可愛い面が見えて来るところとか、よくできてるよね。元祖ツンデレキャラというところだろうか。長尺のアニメのいいところだと思う。
  • ダイスは、事あるごとに大仰な演説をしたり、芝居がかっているところが、多分リアルにいたらまじめんどくさいやつだろうなと思わせる。しかし部下にはまずまず慕われたりしているから、これはこれで不思議だわ。
  • 原作の『残された人々』は東西冷戦感が横溢するなかなかダークファンタジーらしいが、Kindle化もされていないし、古書はやたら高い。読んでみたいものだ。また、未来少年コナンと一部世界観を同じくする『タイガアドベンチャー』という作品もあるんですね。見てみたい。
  • さすがに、サウンドは古いが、逆にシンセ多用ではない時代の丁寧なオーケストレーションで、好感度は高い。後のジブリのテイストはあるといえよう。ただOp Edは完全に少年少女名作物語ではある。

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