オススメ度 90点
細く長く度 90点
ちょっと前に買っていた本。
Amazon Kindleを見返すと 1巻は2014年、13巻は2018年に購入している。
13巻と手頃な長さで、ハンニバルとスキピオの一生を割とシンプルに追いかける。
この手の作品といえば、塩野七生の『ローマ人の物語』ハンニバル戦記がもっともわかりやすいわけだが、やはり漫画というのはさらにわかりやすい。漫画は絵と文字なので、地図や、戦場図のようなものも、ストーリー部分と破綻なく図示しやすい。
しかし、途中のシラクサ戦において、『ヘウレーカ』にでてきたスパルタ人のダミッポスというモチーフが出てきたのには驚いた。
井上雅彦『バガボンド』におつうがでてきた時くらい驚いたね。
なかなか当時の人間の考え方を描写するのはむずかしい。
ハンニバルに関しては、敵対していた側の記録しか残っていないし、感情面を露わにするようなタイプではなかったようで、謎めいた描写に終始している。反対にスキピオは主人公でもあり、現代的な開明的な感じに描かれている。
当時のローマ人が現代人のようなポストモダンの人格ではないだろうから違和感はあるが、主人公感・共感をだすために、カスタマーである我々に寄せてきているのだろうと思う。
改めてザーッと読み返してみると、もともとの史学からの逸脱も少ないし、この時代のことを俯瞰したい時に格好の一作だと思う。
「教育」のカテゴリーでもいけるかも。
細く長く売れてほしい作品だと思う。