オススメ度 60点
「ふーん」度 60点
- 作者: 井川楊枝
- 出版社/メーカー: 彩図社
- 発売日: 2012/05/01
- メディア: Kindle版
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一度は店頭に並んだけれども回収されることになった倫理的問題作アダルトビデオの列伝。
なんでおれこの本読んでんだろう。
AVは、かつて、サブカルチャー中のサブカルチャーだった。*1
勢いがある頃は、放送コードギリギリのところを攻めた快作が中にはあった。
「ビデ倫」に通らなかった問題作を紹介する本。
度を越したSMプレイ(フィリピンのイースター(復活祭)で磔の儀式に出演、手のひらを釘で打ち付けられる祭りに偽装して参加。あとですっごく怒られる。)
自衛隊員を使ったAV(自衛隊員が男優として出演。当然許可はおりず…)
横浜の中華街で祭りの雑踏の中で露出AV(めっちゃ怒られる)。
年齢制限。(18歳以下はあかんのは当然のことだが、細かいルールとして、18歳以上でも高校に在籍していたらNGらしい。校則とかあるしね。法律ではなく、業界団体自主規制らしい。また20歳未満だったら親の了承がないと契約ができないそうだ。ま、こんな知識、多分今後も日の目を見ることはないが)
死んだAV女優の墓に対してSM行為。障害者出演ビデオ。
ナンパAVでタクシー内でカーセックスして、あとでタクシー会社からクレーム入り回収。運転手はクビ。
盗撮。
ペニスの皮を切り取ったやつを食わせるカニバリズムAV(こういうのはやっぱり V&Rプランニング)
アイドルマスターのパロディ『アダルトマスター』でファンからクレームが入る。
ジュニアアイドルのビデオ。監禁事件を再現した実録エロシネマ。
女犯シリーズ。これは V&Rプランニング
バッキー・ビジュアル・プランニングの、ハードレイプものAV。
ま、内容は上述した通り。
今のアダルト業界がどうなっているのかは知らないが、自分の青春時代に慣れ親しんだサブカルの一端を覗いたような本であった。
でも、なんで俺この本読んでいるんだろう。
- 作者: バクシーシ山下
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 1999/07
- メディア: 文庫
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著者はV&Rプランニングの名物監督バクシーシ山下。
V&R プランニングのAVはキワモノ、問題作が多いことで有名。
この本はバクシーシ山下が、V&Rプランニングで制作したAVを一つ一つ淡々と振り返る本。
撮影の状況とか、男優とか女優のことを語る。
結構「いやこいつら本当にどうしようもないやつで…」みたいな語りばかり。
バクシーシ山下は、被写体に対して突き放した視点と感情で撮っていたことがよくわかる本。
同じ人間に相対しているとは思えないような視点。
こわー。人間こわー。サイコパスやと思う。
で、男優たちの話なんですけど、この北崎は当時、大手商社U洋行の社員で、若くしてすでに窓際というか総務だったんです。仕事できないらしくて。
(中略)
で、この北崎をなんで使ったかというと、信用できないヤツだったからなんです。
「山下さんは、ご活躍でいらっしゃいますね。よくエロ本誌上で拝見いたしております。このたびも、私のようなものに出演の声をかけていただいて……」
ニヤニヤしながら、延々この調子なんですよ。日常会話に慇懃無礼がにじみ出てる。
基本的に、僕は自分が嫌だと思うヤツを出演させるんです。自分の感情だけが物差しなんだけれど、そういうヤツは、たいてい女の子だって嫌なわけじゃないですか。
レイプもので、女の子に本気で嫌悪感を演技させないといけないとはいえ…。
男女の性行為を撮るというよりは、お金のために人前でセックスをするというAVの不条理を露わにするためにAVを撮っている。
メタ視点なんだろうか。
なんか昆虫学者が昆虫の交尾を眺めているような、感情移入できないセックスを撮るよね。
* * *
というわけで、『封印されたアダルトビデオ』は、軽いサブカル覗き見趣味の人にはオススメ。
『セックス障害者たち』は、ある種のホラーとして読めばいい。こわー。
halfboileddoc.hatenablog.com
あ、昔にも記事書いてましたね。よっぽど衝撃だったんだ。