半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『アガペー』真鍋昌平と『ウシジマ君』とホリエモン。

オススメ度 80点
ディストピア度 80点

アガペー (ビッグコミックス)

アガペー (ビッグコミックス)

この世は苦界であるなあ、という印象。

・アイドルファンの
 多分取材をもとにしたやけにリアルなお互いを軽蔑しながらの、アイドル応援
 (アイドルはアイドルで、クソな現実の中でもがく)
・モールでくすぶっている人たちが結婚した同級生にむける羨望。
・福島の人たちが都会にでてきている人。
どこも、現代を鋭く切り取っている。うーん、救いがないなあ。

社会の底流を描いた作品で、印象的なものはいくつかあるが
『四丁目の夕日』『無能の人』などのつげ義春の一連の自伝的作品群と重なる部分がある。

四丁目の夕日 (扶桑社コミックス)

四丁目の夕日 (扶桑社コミックス)

無能の人・日の戯れ(新潮文庫)

無能の人・日の戯れ(新潮文庫)

ただ、この作品で描かれる底流の人は、とにかく金がない感じではなく*1、希望がない感じだ。

『ウシジマくん vs. ホリエモン カネに洗脳されるな! (小学館文庫)』

ウシジマ×ホリエモンは食い合わせが良い度 100点

これはホリエモンこと堀江貴文氏が、ウシジマ君を読んで(かれの愛読書の一つだそうだ)抱いた感想、というか、
ウシジマくんの作中のエピソードと、自分の経験談とをミックスして書いており、ただの感想文ではない。
ホリエモンは、よくもわるくも裏表のない人だ。
世の中には、あまり明示化されていない裏ルールのようなものもあるわけだが、ホリエモン言語化されていないそうした裏ルールをもっとも嫌う。ルールはきちんと明示して、フェアに戦えばいいじゃん、と。
そういうところが若者にうけ、既得権益層をひどく警戒させた。
以下、備忘録:

  • プライドの高い人はまず自意識過剰だ
  • 「自分で始末つけます型」の経営者は、失敗しやすい。組織を率いる立場にある、部課長クラスだって同じ
  • プライドが解決してくれる物事など、基本的にない
  • カネとはあくまで手段だ。目的ではない。
  • 人はカネがなくなると、入ってくる情報の質が悪くなり、思考力が落ちるものだ。
  • 真面目すぎる人はたいてい、問題の切り分け方が下手だ。
  • ひどい裏切りの事例も、引いた視点で見れば、裏切り者は誰もいないことがほとんどだったりする。私はライブドア事件をそう総括している。
  • 過度の義務感は、自己愛を生みやすい。
  • カネ儲けが目当てでつくる借金は、ケタが違う。
  • この世でもっとも悪いことのひとつは、現状維持だ。

この備忘録の部分だけ読んでも誤解を招くと思う。ちゃんと読めばいいこと書いてあるので、
ぜひ一読してみるべし。

*1:金がない人の話はウシジマ君にでてくるからだろうか