半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『ブス界にようこそ』

オススメ度 70点
パワーワード、頻出度 80点

一言で言うと、「ニューハーフショーパブの踊り」のような漫画だ。

チラシの裏にでも書いてろ!
なんて言葉があるが、この漫画はアマゾンインディーズというゼロ円で配信されるKindle文庫である。
デジタル、チラシの裏である。

ストーリーはなかなか壮絶なもの。

死んだブスに与えられる最後のチャンス、それは綺麗な奴を食いまくって、生き返るというもの。 自殺した主人公は、ブス界という、不思議な世界で目を覚ます。 そこは強烈な、競争と階級の闘争社会だった……!『タイトルに騙された!アツい!』という声の多い王道少年マンガです。

なんかブスの主人公が自殺をして、転生したところは、「ブス界」といわれるある種の地獄。
ブス同士が戦い、殺しあう。
生き残ったブスは、お互いに食い合うことでステージがあがり綺麗な人になれる、という世界。

転生もの、といえるのか、ガールズファイトものとでもいうのか、純粋格闘漫画、と言えるのか。
漫画という形式で評価すると、描線もあらく、コマ割りや表現も、アラが目立つ。
 その意味で、「キレイな」漫画、とは言えない。

でもしかし、そこに横溢するセリフ、世界観は、やたらアツく、なんか、感動させられる根源的な何かを持っている。
パワーワードが連発するぞ。

技術や形式を超えた、表現欲が伝わってくる漫画だ。
そういうところが、ニューハーフショーパブにいるオカマ達の原初感溢れるショーダンスに相通じるものがある。

現在12巻まででているが、普通の単行本の分量にして三巻くらいか。今後の展開にも目が離せない。

ちなみに、ブスはともかくヒエラルキーの頂点としての「美人」は、おそらく外人のモデルとか、そういうのを参考に描かれているよう。
ゴツゴツとしたデッサンと素描にあっている。
日本の女優さんっぽい美人って、柔らかい曲線で出来上がっているのであるが、そういう人は描かれない。
まあこの世界が、「戦う女の世界」だからかもしれないけどね。