半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『死ぬ前に一回やっとこう』小山健 他

オススメ度 80点

死ぬ前に1回やっとこう

死ぬ前に1回やっとこう

Web漫画という媒体ができてから、漫画の作画ハードルは明らかに下がったけれども、コマ割りやストーリーが面白かったら人は読む。
小山健はそういう時代の漫画家。うまいとは思わないが、でもこの人の描く女の子は、女の子への憧れがきちんと投影されていて、とてもかわいいと思う。

リア充の小山健が、いろんなしたことのない体験をやってみよう、というエッセイ漫画。
Barに一人で飲みに行くとか、ナンパする、ヒッチハイクする、という、まあまあよくある体験もあるし、スカイダイビングに行くとか女装する、格闘するとか、ハロウィンの渋谷に行くとか、そういうハード目なものもある。

自己評価低めエッセイ漫画って、等身大なので、安定して読めますよね。個人的にはナンパするの巻は結構よかったです。
企業タイアップの漫画なんだよね、確かこれ。

今回は似たような別の漫画もとりあげてみた。

『不倫、ダメ、絶対!』

この漫画は、超絶モテない系の漫画家が(でも奥さんいるんだよね…)、「不倫をしたい」というコンセプトのもとに、いろんな女性と会う手段、たとえばガールズバーに行く、相席屋に行く、合コンに行く、街コンに行くなどの突入ルポを行うというものであった。
奥さんも旦那の性格をみこしてか「おう、やれるもんならやってみろ!」的な反応。

考えてみると、実録漫画だったらきちんと成功しないと話にならないが、ほぼ童貞漫画家が女性に会おうとして失敗、であれば、取材がグダグダであったとしても成立するわけで、まあ、失敗が少ないものだね。
この人の漫画は画力は上述の小山さんとそんなに変わらないが、小山氏ほどは女性をしっかり見ていないため、「イデア」としての女性に欠けるところがある。あと、所詮は深い話までいかんやろというヘタレ感がぬぐいされない。
中村うさぎを見習って、例えば本当にシャレにならない不倫しまくるところまでいって、自分を極限までさらけだし、行くところまで行ってくれたら面白いのに。

『ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました』

ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました。

ずっとやめたかったこと、こうしてやめられました。

これは上二つとは逆で、新たなことにチャレンジするわけではなく、いろんな依存症をやめるに至った話。
アルコール、買い物依存症ギャンブル依存症… いろいろな依存症の実例漫画です。
淡々と語られるものの結構壮絶な話が多かったですね。

上二つは、割としょうもないこと(日常の視点を)むしろ誇張して表現しているのに比べると、この作品は、淡々さの反面の内容の濃ゆさが印象的でした。
ヘタレ漫画と、完全に一線踏み越えている漫画。
まヘタレは第一人称だけど、これは第三人称だけどね。