おススメ度 100点
炎上しないのは本人が表に出ないからか度 80点
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2019/01/17
- メディア: 新書
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前作の「言ってはいけない」も衝撃的な作品ではあったが、さらにポリティカリーインコレクトな事象を扱っている。
冒頭、しょっぱなからカマしが入る。
PIAACの調査(成人の社会生活に求められる能力の総合値。まあ大人のIQみたいなもん)で、日本が参加国中1位であったが、実はその1位の日本にしても、30%簡単な問題文を理解できていない、ということが判明した。さらに、パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下である、と。
言語理解出来ない人が3割位居ますよ、という衝撃の結果からこの本は始まる。
以下、覚書
- 一般知能の遺伝率は従来考えられているよりもずっと高い。
- 男女の知能の差、白人と黒人の知能の差
- 知能に及ぼす遺伝の影響は発達とともに増加する
- 同性愛に関連した遺伝子の可能性
- リベラルな社会であるほど、遺伝率が上がる
- 生活保護による社会保障は母親の自尊心を下げるため教育効果が低い。漫然とお金を配るだけでは思ったような政策効果はえられそうにない。
- 人類の共通祖先、ネアンデルタール人との交雑、出アフリカ(アフリカ以外のすべての人種の多様性よりもアフリカの内部での人種多様性の方が大きい)
- 遺伝と進化は、現在も加速しつつある。プロテスタンティズムや科挙制度が集団IQを押し上げた可能性。
- アシュケナージや華僑などの特定小集団のIQが有意に高い理由
- 人の自己家畜化、内向的/外交的の性質の違い、睾丸の大きさによる考察
- 日本人は内向的=刺激に敏感、セロトニン運搬遺伝子 SS型が日本には多い(脳内のセロトニン発現量が少ない)
通読していただいて、仮説の妙味を楽しんでもらえればいいだろう。
個人的にはグールドのまあまあ熱心な読者だったので、一連の著作の紹介がされていたので懐かしかった。
あくまでクールに、感情を排して、しかし受け取り方によっては非常に他者を傷つけかねないデリケートな事象を取り扱っている。
多分売れれば、それなりにバッシングされたりしうるだろうなと思わせる一方で、クールな文体は脊髄反射的に書かれた内容で怒り出すバカな人間をフィルタリングする機能があるのだろうなとも思った。