半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

Kenny Drew ”Undercurrent”

オススメ度 60点

Undercurrent

Undercurrent

少し前、吉村昭の初期作品、晩年とけっこう違うな−ということを書いた際に、Kenny Drewみたいだねーとか書いた。
halfboileddoc.hatenablog.com

例に挙げはしたものの、もっていなかったCDなので、買った。
イマドキはStreamingで聴けばいいのだけれど、アナクロな人間なので*1きちんと聴くときは、やはりCDを買うことにしている。
メンバーは:
Freddie Hubbard (tp)
Hank Mobley (tp)
Kenny Drew (p)
Sam Jones (b)
Louis Hayes (ds)

まぎれもないハードバップの佳作だと思う。
肩の力が入りすぎているといえば入りすぎている、ちょっと凝りすぎたヘッドアレンジ。
ハバードも、ハンク・モブレーもかなりイケイケ。

ただ、かなりの力作ではあるけれども、全曲オリジナルで、ジャンルそのものの興奮も遠くなった現代から振り返ると、「聴きどころ」が難しいかもね。
膨大なアーカイブの中では、スタンダードナンバーの一つも入っていないと、かえりみられない。
(例えば、Criss Crossレーベルとかは、そういう時代を考慮して、一曲はスタンダードが入っていたりする)

こういう作品が安穏としていたジャンルごと廃棄されたのが70年代であり、80年代だからね。
なんか晩年、Kenny Drewが、ヨーロッパで、ベタベタでアマアマのスタンダード曲集を録音して日銭を稼いでいたのも、無理ないなあという気がする。
そういう意味では、このアルバムは青春の蹉跌みたいなもんだ。

ちなみにUndercurrentという題名では、こちらを連想する方が多いとは思う。

Undercurrent [12 inch Analog]

Undercurrent [12 inch Analog]

Bill EvansJim HallのDuo。二人の丁々発止としたやり取り、むしろBill Evansのソリッドさが際立つこちらのほうが、世間的には知名度が高い。
こちらはStandard中心に選曲されているが、これも一曲として緩むことがない。

*1:アナクロ、こそ言わないな