- 作者: 山田風太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/12/13
- メディア: 文庫
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忍法帖とか、そういう本来の「山田風太郎」作品が、正規のメニュー、表風太郎モノだとしたら、この本は「まかない飯」のような裏メニューに違いありません。
なにしろ、将来作家になるとかそういうこともわかっていなかった医学生時代、東京で昭和20年を過ごしていた日々の日記なのだから。
ま、いうなれば『ヤング島耕作』っていうことだわね、この本は。
日本にとっての運命の年、昭和20年の中で、青年・山田風太郎は何を考えていたのか。
作家になるという後年の運命はこの時にはかけらも見られず、将来の軍医として社会にコミットしている青年の喜怒哀楽が、正直につづられている。
その山田青年に、後年の山田風太郎のもつ老獪・深遠さはないが、後のスタンスを位置づける様々な出来事があったのだろうと思わせます。しかし、重要なエピソードは、日記の中で語られることはありませんが、この日記は、非常に何かいいたげな感じであります。