- 作者: 酒見賢一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/06/29
- メディア: 文庫
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漫画は、色々膨らませて書かれていたのだということを、原作を読んで初めて気がついた。本は、漫画の最初のエピソードのところで完全に完結。
そのために余分に登場人物を生きながらえさせもしない。
この本では痛々しいまでに恬淡で、人の死に方がチェスのようだと思いました*1。
『後宮小説』もそうでしたが、この人の話は、描かれているその世界に自分も飛び込みたいなあとは思わないタイプのもので、引き込まれはするが、こんな世界住みたくねえ。でもリアルで、ある意味現実よりもリアルなところがある。
読了後、本を閉じてただただため息がでる、そんな読後感です。
しかし、表紙・文中のイラストは南伸坊氏のすっとぼけたタッチの絵で、最初その内容とのギャップに、違和感を感じたのですが、読了後の感想としては、むしろこのイラスト、結構大事。リアリティーのない絵柄なのに、むしろ本文のリアリティーを増すことに成功している。
僕の中では南伸坊氏は、昨今はただの顔マネのおっさんで、やたらゆるゆるな対談をする人という印象があったんですが、やっぱりこの人すごいなあ。