- アーティスト: Lumiere
- 出版社/メーカー: CCRE
- 発売日: 2007/11/28
- メディア: CD
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コンセプトとしてはSotte Bosseに近いところがある。
1. ここでキスして。
2. やさしい気持ち
3. A Perfect Sky
4. 何度でも
5. Story
6. つつみ込むように・・・
7. 三日月
8. GIRL TALK
9. PRIDE
10. RIDE ON TIME
このボーカルの人(はなさん)、ちょっとしゃくれた唄い方をするところは好みが別れるところですが、ボーカリストとしてはかなり上手だと思います。こまごまとした音の処理まで気を使っていて、若いのにプロフェッショナルを感じさせる。
アレンジに関しては、原曲の味をそれほど大きくは変えず、といったところか。僕はジャズ畑の人間ですから、割と大胆なコード・リハーモナイズが好きなんですが、コードシンボルは変えない範囲で、音とリズムパターンを変えている程度の、あっさりアレンジ。実は細かく聴くとかなりの手が加わっているところもあるけど、あくまで白鳥が涼しい顔をして泳いでいるが如くに、表面上は、あっさり。
さらっと聴く、BGMにする分には非常にすぐれたアルバムだと思うわけですが、Sotte Bosseと同様、釈然としない思いが残るのは、多分僕がビョーキ*1だからだ。
「ポップスの楽曲というのはこんな鮮度でもアーカイブ化されるのか」というのが、このCDを聴いた率直な感想である。これらの楽曲の殆どはリリースされて5年以内のもので、一言でいうと「今」の楽曲なわけで、それを「カバー」するという発想は、僕にとってはいささか愕然とさせられる。時代を同じくするポップス楽曲であれば、切り口を変えることも難しい。一体「カバー」とは、なんなんだろう?*2現に、例えば3.とかは、唄い方とかもオリジナルであるボニーピンクとそっくりである。ヴォーカルの人は実際うまいのだけれど、細部まで目が行き届き過ぎるがゆえに、歌い手本人が原曲のイメージに呪縛されているように見受けられる。
口さがなく言えば、「ハイレベルなモノマネ」だ。CDとしては聴きやすく、なおかつ面白い作品だとは思うのですが、これを認めていいものかどうか、ということをしばし考えてしまいます。
例えばつじあやの「Cover Girl」とかだと、どんな古今東西の名曲もつじあやのがのっぺりしたつじ的な唄い方で、そこには別の身も蓋のなさがあるわけですが、まだその方が、オリジナリティがあるというか。
もうちょっと自分の唄い方というか、そういうのが出るところまで熟成させるべきだったんじゃないかなあ。おそらくこの方の音楽的な人格形成期に出会った楽曲をカバーしているのかなあとも思うわけですが、どうしても本家尊重に傾く危険がある。
なんか、ポップス業界も大変です。
それぞれのPCのハードディスクの中と同様に、現在の音楽業界は作った端からこのようにアーカイブ化されていくわけで、こういう混沌とした状況の中で、アーティストとしての自分の立ち位置を保つのはきっとすごく難しいことなのだと思う。
あ、それから難点はジャケット。この厚紙っぽい材質のジャケは、微妙に外側に反ってきます。