長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)
- 作者: レイモンド・チャンドラー,清水俊二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1958/10
- メディア: 新書
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うーん、こっちの方は、名作と言われているだけあって、話の流れはスムースで、流麗なプロッティングだと思った(それでも、レイモンドチャンドラーの小説は、あっちにいったりこっちに行ったりが、比較的ゴツゴツしているなと思うけれど)
こっちの方が小説として面白いのは間違いないが、しかし逆に「プレイバック」の方を振り返ってみると、チャンドラーがそういう風に「プレイバック」を書かざるを得なかった気持ちもなんとなくわかるような気もする。
この週末から期せずして「ハードボイルド」の世界に浸淫していたわけですが、しかし自分にはこの世界は向いてないな。タバコ、だめだし。この小説には唯一タバコ嫌いの権力者が出てきて(「喘息が悪くなるからタバコはよしてくれ」と言う。それ以外でタバコを止められた場面はない)、おもわず彼に感情移入をしてしまったもの。
とかちっちぇえこと言っている時点で、一生ハードボイルドにはなれんわな。
http://opendoors.asahi.com/asahido/boston/002.html
で読みましたが、村上春樹氏が翻訳をしているそうな。
うーん、いや、いいけどさ。「ライ麦畑でつかまえて」「華麗なるギャツビー」「長いお別れ」でしょう?村上氏は現役バリバリの小説家でありながら、翻訳に関しても相当量の業績があるのは認めるけれど、この三作に関しては有名作家の横車的な感じがしてあまり賛同できない。翻訳家としての村上氏は、明らかに「英米文学のセレクトショップ」化しているからなあ。でも、上に挙げた三作以外にも、村上氏は多岐に渡っていい仕事してんのよねえ。実際長い別れ、村上翻訳で読みたいかと言われると読みたいですし。
うーん、なんか「ずるい!」と思ってしまうのはなぜだろう。「ウィナー・テイクス・オール」に見えるからだろうか。これはバーコードハゲの藤原正彦に言わせれば、「卑怯」ということらしいから。