半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

Sweet 7

 ラーメンズ小林賢太郎プロデュース演劇のビデオ。ツタヤにて。普通に面白い。
 最終場では初めと同じ場面で終わる、おもちゃ箱から出された色々なおもちゃを、順にしまっていくように、物語は発生と解決とが語られる。最終的にはすべてもとの状態にもどる。こうした対称性の高いプロットは、計算高い小林の面目躍如たるところだろう。

 僕は、こういう物語の中の『斉一性』(これはチャールズ・ライエルの唱えた『斉一説』から転用している)というものに惹かれる。本の中には世界がある。本で書かれた物語はこの世界に何らかの作用を及ぼすが、その物語は世界自体に不可逆的な変化を及ぼすのかどうか。物語が始まる前と物語の終わったあとで世界は変わっているのか、いないのか。広げた物語には結末がちゃんとついているのかどうか。これは『はてしない物語』にもあったモチーフだ。

だが同時に、まったく『斉一性』を欠いた物語にも激しく惹かれる。『世界の終わり』的なモチーフのものがそうだ。たとえば、ブラッドベリの『火星年代記』とか、『最終兵器彼女』とか。こういう「書かれっぱなし」の物語の前後の世界で著しく対称性を欠いた話も、好きだ。