半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『紛争だったら八田まで』

イギリスに本社がある企業に地政学リスクコンサルタントとして勤める八田百合。彼女の仕事は、地政学に基づいた知性と、ちょっとの荒技で世界中の事件を解決すること。そんな彼女に依頼を出してきたのは、ミャンマーにある日本の企業だった…。

地政学」が漫画のコンセプト。
グローバルないろいろな国でのトラブル解決を行う女性。
地政学という言葉をダシにした「トリックスターによる大岡裁き」というのが漫画の本質で、まあそれ故に面白い。*1

そう、漫画としては「地政学」であったり、各国の国内事情の問題解決プロセス、コンサルタントという仕事の思考プロセスを見ている点では、
割と専門的で面白いのであるが、
しかし、読み味にすごく既視感がある。
それは「大岡裁き」なのである。

* * *

最近知った知識であるが、『地政学』というものは、確立した学問体系ではなく、厳密性がない点ではトンデモ科学と言われても仕方がないということ。
確かに、歴史や地理、政治の中の法則性を見つけたような気になっているけど、学問として必要な、
普遍性、再現性、定量性は希薄ではある。
ただ、知っていると思考の枠組みを立てやすいという効用は間違いなくあるのも確か。
経営学、みたいなものなんだろうか。

話を漫画に戻しますと、パーマネント・トラベラーに憧れている人には、主人公のコスモポリタニズムはさぞかし魅力的にうつるよな、と思う。
ただ、コロナ禍で分断された世界の中では、当初の漫画への憧れや輝きは、幾分か減殺されてしまっているように思われるけどどうか。

*1:その意味では大岡裁きというよりは遠山の金さんかもしれない