半熟三昧(本とか音楽とか)

半熟ドクター(とはいえ気がつくと医師20年選手だけど)の読んだ本とか音楽とか

『カラテ地獄変牙』

オススメ度 70点
昭和のアスファルトジャングル度 100点

カラテ地獄変牙1

カラテ地獄変牙1

つい先日紹介した『人間コク宝』に、梶原一騎先生のダークサイドな面が存分にあらわれた…という紹介をされているので、
Kindleで。といいつつ、流石になんども読み直すこともないかと思い、Kindle Unlimitedを初めて使ってみた。

うーん、Unlimited。
お金的には随分節約できたんじゃないかと思うけど、その分時間を浪費している。そしてUnlimitedで読もうかどうか悩んでいるようなものは、読まなくても自分の人生になんら影響がないもの。純粋に娯楽としての読書(これは漫画なので読書、とさえ言えない)

一歩引き下がって、自分のリソースを棚卸ししてみると、お金よりも時間の方がどう考えても貴重。
そういう意味でUnlimitedは無料期間が終わったらやっぱりやめようかなと思った。

* * *

それはともかく、大山倍達のカラテ普及にも随分貢献したであろう漫画『空手バカ一代』を表の経典とすれば、
この『カラテ地獄変』は完全に、裏の経典、密教的なものである。
まあ、逆に言えばこの昭和期に、いかに極真空手が世間に膾炙していたのかという証左でもある。
まあ後半はどんどん話が史実から外れていくわけですけれども、基本的には空手バカ一代の、大山カラテが発展し海外進出していく過程のサイドストーリーという体裁で描かれているのが面白い。

教祖とでも言える大山倍達(この漫画ではあまりにアレなので、大東徹源という名前になっているが)も、弟子を正しい道へ導く師匠という雰囲気ではなく、ダイトー・カラテを普及するためには権謀術数も辞さない冷徹な戦略家という描かれ方をしている。
おそらく実在の大山倍達は、空手バカ一代とカラテ地獄変の中間の性格であったんだろうな、とは思うが、それにしてもカラテ地獄変は、極真空手にしてみたら、大いに迷惑しただろうね。

作風は、一言で言えば、レイプ、リンチ、暴力(まあ空手そのものが暴力であるのだから仕方がないのだが)のカクテル。
昭和のダークサイドを見るとこのようなものなんだろうと思う。

娯楽漫画だからなのか、単純なカラテ=暴力シーンだけでなく、かならずかなりどぎつい性暴力、性交シーンがある。
「人間の性 悪なり」がテーマのようだが、最終的に梶原一樹先生、これ書いている間に逮捕されちゃうんですよね。

そういうやつ。