- 作者: 西牟田靖
- 出版社/メーカー: 情報センター出版局
- 発売日: 2005/02/01
- メディア: 単行本
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十字架と共存する鳥居、青い日の丸、ロシアの鳥居、見せしめにされた記念碑、落書きだらけの慰霊塔……かつて日本の領土だった国々に残る、その不可思議な光景の理由は? 知られざる反日と親日のリアルとは?―忘却なのか、禁忌なのか? 埋もれてしまった「あの時代」を、戦争を知らないからこそまるごと見つめ直してみたい。だから僕は「大日本帝国」を踏破してみた。
Web記事で、作者西牟田氏の活動をみて興味をもったので、作者で検索してでてきたこの本を読んでみた。
一時期にはAmazonでも新刊ベストセラーに入ったりした、随分と話題書だったようだ。
賞もとったりしたらしい。
しかし、いってみればただの辺境旅行記だ。極めてふつーの。
何より、政治的な偏向が入っておらず、大日本帝国の「夢のあと」を平成に若者が何の事前情報も持たずに訪れている、といった体裁になっている。
ナイーブな若者が、ある国では、敵意をあからさまにむけられ、ある国では物珍しがられ、ある国では友好的な態度を向けられる。
こうやってひとかたまりにすると、かつての大日本帝国の威光、というよりは、見えてくるのは戦後の日本との関係性なのだろう。
総括するのは難しい。
だからこそ、この本が価値をもつのだろうね。
そう、戦争のことも、戦後のことも、一括りにしてまとめてはいけないということだ。
だからこその「一次情報」としてのこの本が人気を博したのだろう。
この本の台頭はネトウヨの台頭とか、そういう時期にも重なっている。ブログの登場と、いわゆる「物書き」以外の人たちが文筆の世界に大量に流入してきた時期でもある。
この当時にこの本がどのような論争に巻き込まれたかは、正直あまり覚えていないが、結構な波頭に立っていたような気もする。
それもまた、それはそれで、一つの「戦後」だとは思う。
ちなみに、きっかけになったweb記事は
www.hotpepper.jp
でした。